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米メディア「トランプ、北朝鮮の核能力の凍結を検討」…揺らぐ「朝鮮半島非核化」

登録:2023-12-15 06:29 修正:2023-12-15 07:17
ドナルド・トランプ前米大統領が13日、アイオワ州コーラルビルで遊説している=コーラルビル/AFP・聯合ニュース

 米国のドナルド・トランプ前大統領が政権を握れば、北朝鮮の核保有を認める代わりに、核能力を凍結し、制裁を緩和することを考慮しているという米国メディアの報道が出た。トランプ前大統領はこれを否定しながらも「金正恩(キム・ジョンウン)とは仲良くしている」述べた。

 「ポリティコ」は13日、トランプ前大統領が北朝鮮核を容認し、核兵器をこれ以上作らない見返りに財政的インセンティブを提供することを考慮していると、彼の構想について説明を聞いた匿名の消息筋3人の話を引用して報じた。

 これらの消息筋は、トランプ前大統領が政権を握れば、北朝鮮の金正恩国務委員長に核兵器を放棄するよう説得することをやめる可能性もあると伝えた。成果のない交渉に時間を費やす代わりに、中国との競争に集中するという選択肢もあり得るということだ。ある消息筋は、トランプ前大統領が「自分が合意を望んでいることを分かっている」とし、北朝鮮との合意を引き出す強い意欲を持っていると語った。消息筋たちは、北朝鮮が核能力の凍結に合意しても、約束を守るかどうかを検証する体制は必要だと話した。

 このようなアプローチは、ジョー・バイデン政権が北朝鮮と全く対話できない中で浮上した「核軍縮論」とも類似している。核軍縮論は、北朝鮮の核能力が高度化した状態で、「完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄」(CVID)だけにこだわるのは難しいという認識に基づいている。リチャード・ハース元外交問題評議会会長は「引き続き完全な非核化を目指さなければならないが、それと同時に、米韓日は制裁を縮小する代わりに核・ミサイルシステムを制限する軍縮を提案する必要がある」と述べた。

 歴代の米政府が「北朝鮮の完全な非核化」という目標を固守した背景には、北朝鮮の核兵器保有を放置すると、国際的な非拡散体制が打撃を受けるという懸念がある。一方、米国は食糧援助などの見返りに、北朝鮮の核開発を暫定的にでも中断させるため、過渡期的な解決策を模索したこともあった。

 トランプ前大統領が来年11月の大統領選挙で政権奪還に成功し、核能力の凍結を前提に制裁緩和を進めた場合、その究極的な目標と方向が何かによって韓国など当事国に大きな波紋を広げる可能性がある。完全な非核化という目標を追求する過程で、柔軟な態度を取ることも考えられるが、北朝鮮を事実上の核保有国として認めることになりかねないからだ。米国平和研究所のフランク・オム上級研究員は「ポリティコ」に、「現在の状況を考えると、中期的に完全な北朝鮮非核化を実現できない代わりに、核開発を凍結するという提案は、より現実的なアプローチかもしれない」と述べた。だたし、これには韓国が安全保障上の不安を理由に核武装を追求しうるというリスクが伴うと語った。

 トランプ前大統領はこの報道について、「民主党の諜報員が誤導し混乱を引き起こすために作り出した話であり、虚偽の情報だ」とソーシャルメディアを通じて明らかにした。また、「この話で正確なのは、私が金正恩とうまくやっているということだけだ」とし、政権を握れば金委員長と再び対話に出る可能性を示唆した。トランプ前大統領は、北朝鮮が自分の任期中は核・ミサイル実験を中断したが、バイデン政権に入ってからはこれを再開したとし、金委員長との3回の会談を業績として掲げている。

ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1120390.html韓国語原文入力:2023-12-14 20:13
訳H.J

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