日本政府が北朝鮮や中国など周辺国のミサイル基地を直接攻撃する「敵基地攻撃能力」(反撃能力)を保有することを閣議決定するなど、この70年間維持してきた安全保障政策の枠組みを変えることについて、米国と中国、そして韓国は相反する反応を示した。
米政府は16日、日本政府が閣議で国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の安全保障関連3文書の改訂を決定したことを受け、「日本の歴史的な国家安全保障戦略に関する声明」を発表した。米国はジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)名義の同声明で「今日、日本は新たな国家安全保障戦略、国防戦略および防衛強化プログラムを採択したことで、自由で開かれたインド太平洋を強化し防衛するための大胆で歴史的な措置を取った」と歓迎の意を示した。さらに「防衛投資を大幅に増やすという日本の目標は、米日同盟を強化し現代化するだろう」としたうえで、「この新たな戦略は岸田首相の国際平和と核不拡散に対する深い意志を強化させ、国連安全保障理事会に(非常任理事国として)進出し、2023年に主要7カ国首脳会議(G7サミット)を開催する日本が、その指導力を築いていく足がかりになるだろう」と強調した。また、「我々と我々のパートナーが恒久的な平和、安定および繁栄の達成を後押しする歴史的な新しい国家安全保障戦略の(成立)を祝いたい」とも付け加えた。
しかし、中国政府は「決然と反対する」と反発した。中国外交部の汪文斌報道官は同日開かれた定例記者会見で、「我々は日本が中日間の4つの政治文書(国交正常化に伴う中日共同声明など)の各原則を順守し、互いに協力パートナーになり脅威にならないという政治的共同認識を政策で体現し、行動で実践する一方、アジア近隣諸国の安全保障をめぐる懸念を尊重し、軍事・安全保障障領域で言動を慎重に行うことを重ねて求める」とし、「中国の脅威を誇張し、自国の軍備拡張の口実を探す試みは決して成功できない」と述べた。
韓国政府の立場は微妙だ。「日本は今回の文書で、自国憲法および国際法の範囲内で専守防衛の原則を堅持するという方針を前提に初めて反撃能力の保有を明記した」としたうえで、「関連議論が平和憲法の精神を堅持しながら地域の平和と安定に寄与する方向で透明に行われることが望ましいという立場」を示した。外交部は、日本が朝鮮半島を対象に反撃能力を行使する際、韓国の同意が必要かどうかを問う質問に対し、「朝鮮半島の安全保障および我々の国益に重大な影響を及ぼす事案は、事前に我々との緊密な協議と同意が必ず必要だという立場」だと答えた。日本が国家安全保障戦略に独島領有権を主張する内容を盛り込んだことに対しては「直ちに削除することを求める」とし、在韓国日本大使館の熊谷直樹総括公使を呼び出して抗議した。