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日本「米軍が攻撃を受けても敵基地攻撃可能」、5月に決定していた

登録:2022-12-13 10:35 修正:2022-12-13 12:14
今年5月、「集団的自衛権」の拡張を確認 
日米の判断で朝鮮半島の平和が崩れる可能性も
北朝鮮の大陸間弾道ミサイル「火星砲17号」発射の様子/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 日本政府は近いうちに、この70年余り維持してきた安保政策を大転換する意味を持つ「敵基地攻撃能力」(反撃能力)保有を公式決定するものとみられ、この変化が朝鮮半島の安保環境にどのような影響を及ぼすかに関心が集まっている。そのなかで日本政府は、敵基地攻撃能力を日本が直接攻撃を受けた時だけでなく、米国に対する攻撃に対しても使用できると定めたことが確認され、波紋が広がっている。例えば、米軍艦艇が東海(トンヘ)で北朝鮮の攻撃を受けた場合、米国が望めば自衛隊が反撃できるということだ。

 日本政府がこのような立場に立ったという事実が比較的明確に韓国に伝えられたのは、今月3日だった。日本経済新聞はこの日の記事で、連立与党の公明党の浜地雅一議員が2日、自民党との実務者協議を経て敵基地攻撃能力の保有を認めることで意見をまとめた後、記者団に対して、この能力を行使しうる事例として朝鮮半島有事を挙げたと伝えた。日本はこれまで敵を攻撃できる露骨な攻撃兵器(長距離ミサイル)は保有していなかったが、敵基地攻撃能力の確保を通じてこれを持つことになった。

 浜地議員の発言は、韓国の立場からすれば非常に驚くべき内容を含んでいた。「朝鮮半島有事の際、(北朝鮮が)日本にミサイルを発射するような兆候がある中、日本海(東海)に展開した米軍艦艇が一撃を受ければ、(日本が集団的自衛権を行使しうる)存立危機事態ではないか」と述べたからだ。ただし、「(米国の)要請がなければ行使できないのが国際ルール」だとし、この判断は日米間の緊密な調整によって行われるだろうという意見を付け加えた。

 日本国内で使われるさまざまな法的用語のため分かりにくい浜地議員の発言の意図を正確に把握するには、二つの概念を理解しなければならない。まず、「集団的自衛権」。これは、自国と密接に関連した国家が攻撃を受けた場合、自国が直接攻撃を受けなくても武力を行使できる権利を意味する。日本は平和憲法による制約のためこの権利を放棄してきたが、 2014年7月、憲法解釈の変更により、米国などの日本と密接な関係を持つ国が攻撃を受けた場合、この権利を使用することを決定した。次に、浜地議員が直接言及した「存立危機事態」とは、この決定によって2015年9月に改正された武力攻撃事態法第2条第4項に明示された集団的自衛権を行使できる事態を意味する。

 つまり、東海で米国が北朝鮮の攻撃を受けるのは集団的自衛権を行使できる存立危機事態に当たるため、米国が要請した場合、日本が新たに持つミサイルなどの武力手段(敵基地攻撃能力)を活用して反撃しうるという意味だった。浜地議員は連立与党である公明党の外交安保調査会の事務局長であるうえ、この日に行なわれた自民党との実務者協議を終えた後の発言であるため、与党の「公式見解」と見て差し支えない。「日本が米国のために北朝鮮をミサイルで打撃できる」というのは非常に重要で敏感な発言だが、日本経済新聞は3日付4面の短信で処理してしまった。

 しかし、この発言は「突出発言」ではない。これまで日本政府がさまざまルートを通じて明らかにした見解をまとめてみれば、このような政策決定はかなり以前になされていたことが分かる。日本の最大野党である立憲民主党の長妻昭衆議院議員は5月6日、政府に「日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が存立危機事態と認定された場合、敵基地攻撃(を活用すること)は憲法上の自衛の範囲に含まれ、可能なのか」という質問主意書を提出した。これまで日本政府は、個別的自衛権(日本が直接攻撃を受けた場合)に関してのみ敵基地攻撃能力を使えるとしてきたが、この能力を集団的自衛権行使の過程で使用できるのかを尋ねたのだ。

 これに対して日本政府は17日、答弁書で「自衛権発動の三要件に該当するものがあれば、(中略)限定的な集団的自衛権の行使も含め、自衛の措置としての『武力の行使』にもそのまま当てはまる」と明らかにした。この言葉も曖昧だが、集団的自衛権を行使する過程でも敵基地攻撃能力を活用できるという意味と解釈できる。結局、この答弁書が出た6カ月後に、浜地議員は朝鮮半島や台湾で有事(戦争)などが発生した場合、米国が要請すれば、日本が直接攻撃を受けなくても報復攻撃が可能になるという見解をより明確にすることになる。これまで日本政府は、集団的自衛権を行使できる事例として、捜索救助▽海上作戦(機雷除去や敵の武力行使を支援する船舶活動阻止などの作戦)▽ミサイル防衛(MD)協力▽米艦船の防衛などを挙げてきた。今回、敵基地攻撃能力の保有が認められれば、自衛隊の軍事的役割が以前とは比べものにならないほど拡大することになる。

 日本の防衛省が公式の立場を明らかにしたのは、今月6日だった。浜田靖一防衛相は同日の記者会見で、日本の同盟国などが攻撃を受けて集団的自衛権を行使しうる存立危機事態が発生した場合、反撃能力(敵基地攻撃)を使用できるのかという質問に対し、5月の閣議決定(長妻議員に対する答弁書)の内容を説明し、「可能だ」という趣旨で答えた。韓国には大きく伝わっていないが、公明党の北側一雄副代表も1日、「時事通信」とのインタビューで「日本海の公海上で北朝鮮から日本防衛のため活動する米軍艦が攻撃を受けた場合、存立危機事態と認定されるなら自衛権を行使でき、反撃能力も正当化される」と述べた。

 日本が集団的自衛権の行使の範囲を大きく拡大したことで、韓国政府の足元には火の粉が降りかかる状況となった。日米の判断と日本の武力行使によって、朝鮮半島の平和が一瞬にして崩れる状況が発生しうるからだ。専門家たちは、ますます韓日、韓米日間の意思疎通を強化し、日米の誤判を防ぐべきだという見解を明らかにしている。一部の専門家は、以前から韓日と韓米日の外交・国防長官連席会議(2+2会議)を開催する必要があると述べてきた。国立外交院外交安保研究所日本研究センターのユン・ソクチョン研究教授は、今年発表した報告書「朝鮮半島有事の際、日米同盟内の日本の軍事的役割」で、「日本が敵基地攻撃を実行できるようになれば、朝鮮半島の安保問題をめぐって韓国の利害関係と衝突する地点が存在するようになる」とし、「きちんと対処するためには、平時から韓米日が北朝鮮問題をめぐって意思疎通しながら信頼を蓄積していかなければならない」と指摘した。

東京/キム・ソヨン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1071307.html韓国語原文入力:2022-12-13 07:08
訳C.M

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