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韓国は「略式会談」、日本は「懇談」…首脳間対話めぐる表現が異なる理由とは

登録:2022-09-23 06:21 修正:2022-09-23 11:42
尹錫悦大統領と岸田文雄首相が21日(現地時間)、マンハッタンの国連総会会場近くのカンファレンスビルで午後12時23分から約30分間にわたり話し合った/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と岸田文雄首相が21日(現地時間)、ニューヨーク国連総会を機に会ったことについて、韓国政府は「略式会談」、日本は「懇談」と発表した。一体何の違いがあるのだろうか。

 松野博一官房長官は22日午前の定例記者会見で、これと関連した質問に対し、このように説明した。「会談と懇談の違いについて、厳密な定義が存在するわけではないが、今回は国連総会を機会に両国首脳が短時間で議題を決めずに接点を持とうとしたものであり、懇談としている」。 さらに、「韓国の略式会談という表現は、日本側でいわゆる懇談や立ち話と称しているものは、韓国では略式会談と呼称すると承知しており、意味することは異なるわけではないと思っている」と付け加えた。略式会談は話を交わすために相手を呼び出すという意味の「プール・アーサイド・ミーティング(pull-aside meeting)」と翻訳されるが、公式会談とは違い、対話が終わった後、文書で整理された合意文の発表や記者会見を伴わない。

 松野長官の説明によると、「略式会談」と「懇談」の場合、韓日がそれぞれ呼ぶ用語が異なるだけで、大きな枠組みでは同じ意味とみられる。しかし、実際の外交関係では、首脳間の会談につける用語が多様な意味で解釈されるものだ。

 日本にも首脳間対話をめぐって多様な表現がある。最も格式あるのは「首脳会談」だ。首脳会談の一般的な姿は、会談のために該当国家を訪問するか、相手国家の首脳が自国に来る場合だ。 両国の国旗をテーブルの上に置いて、大体1時間以上の長時間にわたり話し合いが行われる。会談後、両首脳が記者会見をしたり、共同合意文またはそれぞれの声明が出たりもする。最近2年以上新型コロナウイルスのパンデミックが続いたことで、オンライン首脳会談も頻繁に行われている。

 首脳会談は必ずしも時間と場所にとらわれるわけではない。国際会議を機に首脳同士で会談する場合も多い。岸田首相は21日、尹大統領に会った後の午後2時30分、イランのエブラヒム・ライシ大統領と約40分間、首脳会談を行った。尹大統領より10分ほど長かったが、「会談」という用語がついた。記者会見もなく、両国がそれぞれ資料を出す水準に止まった。尹大統領との「懇談」とほとんど差がない。

 日本で最も軽い首脳間対話は「立ち話」だ。首脳が立って軽く握手しながら、会話を交わす程度だ。偶然会ったように見えるが、事前に約束がなされる。何の計画もなしに本当に偶然会って挨拶を交わす場合は「接触した」程度に表現する。

 首脳間の会談に対する呼び方は様々であるが、松野長官の発言通り、会談と懇談の間に大きな違いがあるというよりは、日本政府の外交上の意思表示といえる。

 光復節記念演説と就任100日の記者会見で韓日関係改善を公言した尹大統領としては、今回の岸田首相との会談をより格式ある、意味のあるものに見せたい気持ちが大きかったのだろう。大統領室が15日、外交慣例も無視してまで「韓日首脳会談に快く合意した」と発表したのも、成果を示さなければならないという負担が働いた結果とみられる。

 一方、自民党と統一教会の癒着疑惑、安倍晋三元首相の国葬問題など各種悪材料が重なり、支持率が29%まで落ち込んだ岸田首相としては、「韓国に譲歩するような姿を見せてはならない」という思惑が反映されたといえる。

東京/キム・ソヨン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1059714.html韓国語原文入:2022-09-22 17:48
訳H.J

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