インド初の国産空母「ビクラント」が2日、就役した。中国に続きインドも自国産の空母を保有することになり、インド洋をめぐる両国の神経戦がよりいっそう激しくなるものとみられる。
ナレンドラ・モディ首相は2日、南部コチで開かれたビクラント就役式典に参加し、インドが米国・ロシア・英国・フランス・中国などに続き、自国産空母を保有する国になったことを宣言した。
ビクラントはサンスクリット語で「勇敢」という意味で、排水量は4万5000トン、建造費として約2000億ルピー(約3500億円)が投入された。インド海軍艦艇のデザイン局が設計し、コチ造船所で建造された。インド国防省によると、国産化率は75%を超える。幅62メートル、長さ262メートルで、艦載機やヘリコプターなど航空機30機ほどを搭載できる。2009年に建造が始まり、2013年に進水、その後各種センサーや兵器の装着などを行った後、昨年、初の航海試験を行った。
インドは英国から独立して以降、着実に空母を運用してきた国だ。今回就役したビクラントは、1997年に退役したインド初の空母の名前をそのまま用いた。インドは、英国が第2次大戦期に軽空母として建造したその船を1957年に買い取り、1961年にインドがポルトガルと戦争し南部のゴアを取り戻す時に動員した。ただし、その船はポルトガル軍への攻撃には直接参加しなかった。1971年のバングラデシュ(当時、東パキスタン)独立をめぐるパキスタンとの戦争の時は、パキスタンの主要な軍事基地の爆撃に利用され、インドの勝利に貢献した。インドはその船が退役した後、ロシアから戦闘機搭載巡洋艦「アドミラル・ゴルシコフ」を購入し現代化した後、「ビクラマディティヤ」と命名し、2013年に就役させた。
インドは、2隻目の国産空母であり3隻目の空母となる6万5000トン級の「ビシャル」の建造計画も立てている状態だ。この計画が実現すれば、空母3隻を保有することになる。これは、整備・訓練・作戦投入に1隻ずつ割り当てることで、空母の常時作戦投入が可能になるという意味だ。
最近、海洋進出を加速化している中国は、6月に初の国産空母であり3隻目の空母である「福建」を進水し、インドに先立ち空母3隻体制を構築した。「福建」は米国の空母のようなカタパルト(射出機)方式であり、戦闘機を飛ばすことができ、スキージャンプ台方式であるビクラントより技術的に進んでいるという評価を受けている。満載排水量も8万トン級であり、ビクラントより大きい。
そのため、インドでは中国との海洋競争に負けているという指摘が出ている。インド紙「タイムズ・オブ・インディア」は、「インド海軍は2隻目の国産空母の建造にただちに取りかからなければならないと主張している」と報じた。
新たな空母であるビクラントには、まだ解決しなければならない問題が残っており、今すぐ軍事作戦に投入できる状況ではないと報じられている。専用艦載機もまだ用意されておらず、当面はビクラマディティヤに搭載されたロシア製の艦載機を活用しなければならない。
インドは現在、フランスのダッソーおよび米国のボーイングと新たな艦載機の購入交渉を進めている。アルン・プラカーシュ元インド海軍参謀総長は最近、ロイター通信のインタビューで、「私たちの分離した意思決定過程のため、空母プロジェクトと航空機の選択が分離しており、まだ決定が下されていない」と述べた。インドメディアは11月にビクラントで艦載機の離着陸訓練が始まり、来年中頃には終わる見込みだと報じた。