米下院議長としては25年ぶりに初めて台湾を訪問したナンシー・ペロシ議長に対し、中国政府が制裁措置を取る方針を明らかにした。米国に対しては、米中間の主要協力事業の取り消しを骨子とする対抗措置も発表した。
中国外交部は5日、ホームページにて「中国はペロシ議長の悪辣な挑発行為に対し、関連法に則って、ペロシとその直系親族に対して制裁措置を取ることを決めた」と発表した。また「米下院議長ペロシは中国の厳重な懸念と決然とした反対を無視して台湾を訪問し、中国の内政に深刻に干渉するとともに、中国の主権と領土の完全性を著しく害した」と主張した。中国外交部はペロシ議長と直系親族に対する具体的な制裁措置については言及しなかった。
また、中国外交部は同日、ホームページにて、ペロシ議長の台湾訪問と関連し、米国に対抗措置を取ると発表した。具体的には、米中両国軍幹部間の電話会談の取り消し▽両国国防省実務協議の取り消し▽米中海上軍事安保協議体会議の取り消し▽刑事協力の一時中止▽気候変動関連対話の暫定中止を発表した。
中国外交部の華春瑩報道官は5日のブリーフィングで、前日の4日に行われた中国の台湾周辺の大規模軍事行動に関する米国と北大西洋条約機構(NATO)などの批判に対して論評を求められた際、中国が過去列強の侵略を受けた事実と、米国、NATOの対外軍事介入事例を取り上げ、「中国は120年前の中国ではなく、イラクでも、シリアでも、アフガニスタンでもない」と答えるなど、強く反発した。
中国人民解放軍東部戦区と台湾国防部によると、前日の4日、中国軍は午後1時56分から午後4時まで台湾北部と南部、東部の周辺海域に計11発の「東風」系列の弾道ミサイルを発射した。日本防衛省は、中国軍が台湾周辺海域で同日午後3時頃から午後4時30分過ぎまでに9発の弾道ミサイルを発射したものとみられ、このうち5発は日本の排他的経済水域(EEZ)に落ち、5発のうち4発は台湾本島上空を越えたものとみられるとして、中国に抗議したことを明らかにした。中国軍は5日にも「計画に従って台湾北部、西南部、東部の海・空域で実戦化合同演習を続けた」と発表した。
5日、ペロシ議長は最後のアジア歴訪先の日本で、岸田文雄首相と面会した。ペロシ議長は同日朝、東京の首相公邸で岸田首相と会い、朝食を共にしながら1時間半ほど話し合った。岸田首相は会談後、記者団に「台湾海峡の平和と安定を維持するため、引き続き日米が緊密に連携していくことを確認した」と述べた。ペロシ議長は記者会見で「今回の訪問は台湾の現状変更のためのものではなく、台湾海峡の平和を維持するためのもの」だと説明した。米国は4日、中国の大規模軍事演習を「無責任な行動」だと非難しながらも、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を延期するなど、米中間の緊張の高まりを防ぐための措置もとった。