中国軍が台湾を狙って前例のない強力な軍事行動に出た中、4日に予定されていた中日外相会談が急遽取り消しになった。ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問の余波が、ASEAN(東南アジア諸国連合)関連外相会議が開かれているカンボジアのプノンペンでも広がっている。
外交筋の説明によると、同日午後、現地で開かれる予定だった中国の王毅外交部長と日本の林芳正外相の会談は実現しなかった。中国側が急遽取り消しを通知したものとみられる。
これに先立ち、中国外交部の華春瑩報道官は2日の定例記者会見で、カンボジアのプノンペンで4~5日に開かれるASEAN関連外相会議期間中に進める2国間会談の計画を尋ねる質問に「王部長はラオスやブルネイ、日本、スリランカ、ニュージーランドなどの外相に会い、共通の関心事について意見を交換する」と述べた。
1年9カ月ぶりに開かれる予定だった中日外相会談が取り消しになったのは、緊張が高まった台湾情勢のためとみられる。実際、同日午前に開かれた「ASEAN+3(韓中日)」外相会議では、台湾問題をめぐり中国と日本の間で熾烈な神経戦が繰り広げられた。
先に発言した王部長は、台湾と関連した「すべての問題の根源」として米国を名指しし、かなりの時間を割いて米国を非難した。特に中国が「被害国」であることを強調し、台湾周辺海域で大々的な軍事行動に出たことを、主権と領土の完全性を守護するための行動だと主張した。
一方、林芳正外相は台湾問題と関連し、中国の態度に問題があると指摘した。これに対し王部長が再び林外相の発言を問題視し、歴史的に「(台湾を植民支配した)日本は台湾問題と関連して言及する資格がない」という趣旨で再反論し、会談場に唖然とした緊張感が漂ったという。来週(8~10日)の訪中を控えたパク・チン外交長官は、同日の会談で台湾関連について言及を避けた。
王部長はASEAN地域安保フォーラム(ARF)などASEAN関連外相会談に出席するためプノンペンに到着した直後から、米国に向けて連日猛攻を浴びせてきた。王部長はこの日も「米国が国際法を蹂躙して双方の約束を破り、台湾海峡の平和を破壊して分離主義を支持し、陣営対決を鼓吹することは、中国人民と平和を愛する地域各国の人民に対する公然とした挑発であり、政治的な賭けだ」と述べた。
王部長は前日行ったカンボジアのプラック・ソコン副首相兼外相との会談でも「台湾問題に対する米国側の挑発行為は偶然ではなく、緻密に企画された一つのコメディ」だと述べ、「信義を破った醜悪な顔が露わになった」と主張した。