ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、ウクライナ戦争で平和交渉を事実上放棄し、領土拡張戦略に旋回したようだと、同大統領と面会した人々が伝えた。
プーチン大統領はウクライナ戦争を終わらせる外交努力に関心を失い、代わりにウクライナ領土を最大限確保しようとしているようだという。同大統領と対話した3人の関係者の話を引用し、英「フィナンシャル・タイムズ」紙が24日付で報じた。プーチン大統領は、ウクライナに侵攻したロシア軍が先月キーウ(キエフ)の戦場で苦戦した後、和平交渉を真剣に考慮したが、今は妥協を放棄したと、戦争終結のために外交的解決策を推進してきた人々に話しているという。
ロシアとウクライナは先月29日、イスタンブールでの和平交渉で、ウクライナの中立化などに関する合意草案を作成したが、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が東部ドンバスとクリミア半島など領土問題に対して強硬な姿勢を崩さず、ロシアの「ブチャ虐殺」など民間人虐殺まで明らかになり、和平交渉は中断された状態だ。そのような中、今月14日にはロシアの黒海艦隊旗艦「モスクワ」号がウクライナのミサイル攻撃で事実上撃沈される事態まで起こった。
プーチン大統領と接触した人々は、このような事件の展開について「交渉に希望はあった。プーチン大統領は右往左往していた。彼は勝利者としてこの戦争から抜け出す方法を見つける必要」があったと述べた。しかし、「モスクワ」沈没後は「プーチン大統領はいかなるものにも署名しなかった。『モスクワ』号事件後、勝利者のように見えなくなった。それが恥辱的だったからだ」と話した。
これまでトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領、シャルル・ミシェル欧州連合(EU)首脳会議議長、ロシア人富豪のロマン・アブラモビッチ氏など仲裁者たちが、プーチン大統領に交渉の膠着状況を打開するためにゼレンスキー大統領に会ってみるよう説得してきた。だがプーチン大統領は22日、ミシェル議長との電話会談で、ウクライナが「壁を築いた」ため会談が座礁したとし、ゼレンスキー大統領に会うには「適切な時期ではない」と述べたと、ある関係者は伝えた。
交渉者たちはこれについて、会談で合意の領域を見出すためにより多くの時間が必要だというシグナルというよりは、ロシアが積極的な軍事行動を通じて「より多くの領土を獲得できる」と信じているという意味と解釈した。平和交渉に関わっているある関係者は、プーチン大統領はゼレンスキー大統領との会談を「全力で」避けているとし、プーチン大統領が「ゼレンスキー大統領と直接会う前にすべてが決まることを望んでいる」と話した。ロシアは現在、開戦の名分として掲げてきたドンバス地域の安定という目標を超え、ウクライナ東南部を完全に掌握しようとする動きをみせている。こうなるとウクライナは黒海に通じる進出路を失うことになる。ウクライナの短期的な軍事的成果が、国家的にはより大きな戦略的試練をもたらしたわけだ。
両国間の和平交渉に関与してきた人々は、ゼレンスキー大統領も和平交渉に消極的な態度を示していると伝えた。ゼレンスキー大統領は今月20日、ミシェル議長との会合で、ウクライナの世論は和平交渉の継続を支持していないと述べた。譲歩するよりは、プーチン大統領と戦うことでより大きな支持を確保できるからだ。