ロシアがウクライナの港町マリウポリをほとんど制圧している中、マリウポリ近くの共同墓地に新しい墓が掘られている姿が衛星写真で確認された。ウクライナはここに数千人の民間人が埋められたとし、ロシアの「戦争犯罪」を強く非難した。
米国の民間衛星会社マクサー・テクノロジーズは21日(現地時間)、マリウポリから12マイル(約19キロメートル)離れたマンフシュの共同墓地に新しい区域が建設されている衛星写真を公開した。3月30日に撮影された写真には、10日前と比べ、従来の墓地の周りに沿って直線で4つの区域から約200の埋葬地が新たに掘られた。
マリウポリ市議会はテレグラムに声明を発表し、「マンフシュのこの共同墓地に最大9000人の民間人が埋葬された可能性がある」と明らかにした。市議会は遺体が「複数の層になって埋葬された」という情報があると主張した。
マリウポリのバディム・ボイチェンコ市長は声明で、「21世紀最大の戦争犯罪がマリウポリで行われた。これは新しいバビ・ヤールだ」と批判した。ウクライナの首都キーウ(キエフ)郊外にあるバビ・ヤール渓谷は、第二次世界大戦中の1941年、ナチス・ドイツ軍によってウクライナのユダヤ人約3万4000人が虐殺された場所だ。
ウクライナの高官らは、この新しい共同墓地は今月初めに首都キーウ近くのブチャで発見されたものよりはるかに規模が大きいものとみているという。ワシントン・ポストが報じた。
マンフシュは今年2月、ロシアがウクライナ侵攻を開始した初期からマリウポリを集中攻略する過程で、ロシア軍の手に渡った村だ。ロシアは南部クリミア半島と東部のドンバス地域を結ぶ戦略的要衝地マリウポリを集中的に包囲してきた。ウクライナ軍はマリウポリのアゾフスタリ製鉄所を拠点として最後の抗戦を繰り広げている。しかし、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は21日、「マリウポリ解放のための戦闘は成功裏に完了した」と事実上の「勝利宣言」を行い、アゾフスタリ一帯への攻撃を中止し、封鎖するよう命令した。