ロシアのウクライナ侵攻が24日で2カ月を迎えた中、ロシア軍が23日(現地時間)、南部の拠点である港町オデーサ(オデッサ)にミサイルを発射するなど、攻撃地域を東部ドンバスと東南部マリウポリから南部地域に拡大しようとしている。これを受け、ロシアが当初目標としていた東部のドンバスを越え、南部海岸地域まで制圧した後、永久占領を目指しているという懸念が高まっている。
ウクライナ南部空軍司令部は同日、ロシア軍がオデーサにある軍事施設と民間人住居施設に対してミサイル攻撃を加えたと発表した。オデーサのゲナディー・トゥルハノフ市長はソーシャルメディアを通じて、ミサイル攻撃で少なくとも民間人8人が死亡したと明らかにした。同氏は「死者の中には生後3カ月の乳児もいる」とし、ロシアの民間人攻撃を強く批判したと、CNNが報じた。地元政府は破壊された建物から住民86人を救助し、現在も救助作業が続いていると説明した。
ロシア国防総省は、米国と欧州連合(EU)などが提供した兵器を保管しているオデーサの軍需物資保管施設を精密打撃して破壊したと発表した。ロシアは、この攻撃でウクライナ軍人200人が死亡し、軍車両30台が破壊されたと主張した。オデーサは黒海沿岸にあるウクライナの主要輸出入港で、ロシア軍が占領できなかった西部地域の主要都市。ウクライナ軍は市の東側のミコライウなどでロシア軍の進撃を阻止している。
オデーサを狙ったロシアの相次ぐ攻撃に注目すべきなのは、ロシアが当初軍事作戦の目標として掲げていた東部ドンバスや、クリミア半島とロシア領土を結ぶ要衝地マリウポリなどに満足せず、黒海と面した南部地域全域を制圧する考えを示し始めたためだ。実際、ロシア軍中部軍管区のルスタム・ミネカエフ副司令官は22日、軍需業界のフォーラムでこれを示唆する発言をした。ロシアのタス通信などによると、同氏はこの席で、「2日前に始まった『特別軍事作戦』第2段階で、ロシア軍の課題はウクライナのドンバス地域と南部地域を完全に統制することだ」とし、「ウクライナ南部の統制は、ロシア語を使う住民が抑圧されているトランスニストリアに進むもう一つの道だ」と述べた。
ウクライナ南西部と国境を接するトランスニストリアは、1990年にモルドバから分離独立を宣言した親ロシア系未承認国家だ。1992年の協定によりロシアとモルドバなどの共同監督を受けている。ロシアがトランスニストリアに進むには、マリウポリからオデーサまで黒海と接するウクライナ南部地域をすべて制圧しなければならない。こうなると、ウクライナは主要輸出品である小麦などを輸出できる港をすべて失い、内陸国家に縮小することになる。
ウクライナは強い懸念を示した。ウクライナ国防部は22日、「ロシアが(現在占領中の)南部ヘルソン州とザポリージャ州をロシアに合併するため、いわゆる『住民投票』を準備している」と懸念を示した。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領も同日、国民向けのメッセージで「ヘルソン州とザポリージャ州の人々は、ロシア人が質問紙を渡して答えることを要求すれば、絶対に応じないでほしい。これは皆さんの土地に対するいわゆる住民投票を捏造しようとするものだ」と警告した。ロシアは2014年3月のクリミア半島合併の際も「圧倒的賛成」という住民投票の結果を掲げてこれを正当化した。
ロシアがトランスニストリアを言及したことを受け、モルドバも強く反発した。モルドバ外交部はロシア大使を呼んで「深い遺憾」を表明したと、ロイターが報じた。モルドバ外務省は「このような発言はモルドバの主権と領土保全を支持するというロシアの従来の立場と矛盾している」とし、「ロシア系住民が抑圧されているということも根拠がない」と指摘した。
一方、南東部都市マリウポリのアゾフスタリ製鉄所で最後の抵抗を続けているアゾフ大隊は同日、製鉄所に避難した民間人の映像を公開した。この映像には女性と子どもたちが狭い部屋で寝泊まりしている姿が映っている。ある少女は「しばらく空や太陽を見ていない。早くここから出たい」と話した。