20日(現地時間)、米ワシントンで開かれる主要20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議の際、西側諸国の長官らがロシア側の発言をする間、一斉退席を行うことにしたという。ロシアをめぐる国際社会の軋轢により、G20の将来にも暗雲が立ち込めている。
ロイター通信によると、名前を明らかにしていないフランス財務省高官は19日、主要7カ国(G7)の一部の長官が今回の会議でロシア側が発言する際、退席する見通しだと述べた。同通信は米財務省高官の話として、ジャネット・イエレン財務長官がロシア当局者の出席予定のセッションをボイコットする一方、ウクライナ戦争関連会議にはロシアの参加にかかわらず出席する予定だと報道した。今年、G20財務相・中央銀行総裁会議は4回開かれる予定で、今回は2回目。
米国がボイコットの可能性までほのめかして主張したロシアのG20からの排除は実現しなかった。イエレン長官は今月6日、下院でジョー・バイデン大統領が主張したロシアの排除に「全面的に同意する」とし、「(今年議長国の)インドネシアの同僚たちに、我々(米国)はロシアが参加する場合、いくつかの会議に参加しないことを明らかにした」と述べた。しかし、インドネシア政府は14日、ロシアも会議に招待すると発表し、19日にはロシア財務省もアントン・シルアノフ財務相が会議に出席すると発表した。タス通信によると、同氏はオンラインで会議に出席する予定だという。それを受け、米国も19日、イエレン長官の出席へと方針を変えた。
1999年に財務相長会議で始まったG20会議は、2008年の世界金融危機を機に首脳会議(サミット)まで開かれたことで、存在感を高めた。今年のG20サミットは11月、インドネシアのバリ島で開かれる予定だ。しかし、参加国の国内総生産(GDP)を合わせれば全世界の80%以上というG20会議は、その巨大な規模のため、参加国間の意見の一致を見ることが難しい構造だ。この点は近年ますます顕著になり、存在感の低下を指摘する声も高まっている。ウクライナを侵攻したロシアに対する態度においても、参加国間の相違が目立つ。今月7日、国連人権理事会でロシアの理事国の地位の資格停止をめぐり投票が行われた際も、G20で個別国ではない欧州連合(EU)と当事国のロシアを除く18カ国のうち、ブラジル、インド、インドネシアなど6カ国は棄権し、中国は反対票を投じた。ロイター通信は、フランスとドイツの当局者が、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大への対応や国際経済について議論される予定の今回の会議後、共同声明の発表は見送られるという見通しを示したと報じた。