ロシアが東海で潜水艦を動員して巡航ミサイルを発射する軍事演習を実施した。ロシアの海上戦力を内外的に誇示すると同時に、最近東海で行われた米日共同訓練を牽制する狙いもあるとみられる。
ロシア国防省は14日、太平洋艦隊の潜水艦2隻が巡航ミサイル「カリブル」を発射し、仮想敵を想定した標的に命中したと発表した。ロシアは東海で行われた演習の具体的な場所や巡航ミサイルの発射回数など詳しい情報は公開しなかったが、演習場面を撮影した1分30秒の動画をロシア国防省の公式SNSに掲載した。
公開された動画には、潜水艦の出港から演習中の海軍の対話の様子、潜水艦から発射した巡航ミサイルが海上の打ち上げられる場面が映っている。今回の演習には15隻以上の艦艇と航空部隊も参加した。読売新聞は「カリブルはウクライナ侵攻でも使用され、射程は潜水艦からの発射だと約2000キロメートルとされる」と報じた。
岸信夫防衛相は15日の記者会見で、「カリブルを発射したとみられる2隻の潜水艦は、去年11月に極東地域に配備されたものだと考えられる」とし、「実戦配備後の発射訓練であり、現下の情勢においても、海上戦力の近代化を対内外に示したいとの意向があるとみられる」と述べた。
ロシア軍の今回の演習が、今月12~13日に東海で4年5カ月ぶりに行われた米日共同訓練を狙ったものだという分析もある。NHKは「日本海では海上自衛隊と米軍の原子力空母『エイブラハム・リンカーン』を中心とする空母打撃群が共同訓練を行っていて、ロシア側としては、こうした日米の動きをけん制するねらいもあるとみられる」と報道した。
日本政府は最近、自国周辺でロシア軍の動きが活発になっているとし、警戒を強化している。読売新聞は「露軍は3月下旬から4月初頭にも、(ロシアが実効支配中の)北方領土の国後島、択捉島の演習場などで軍事演習を2度実施」したとし、「今回の発射はけん制の度合いを更に強めた形だ」と分析した。
日本外務省は14日、外交チャンネルを通じて「ロシア側に北東アジアの緊張を高める行為は控えるべき」などの内容で懸念を伝えた。松野博一官房長官は記者会見で、「日本の情報収集能力を明らかにする恐れがあるため詳細は差し控える」としながらも、「我が国周辺でロシア軍の活動が活発化する傾向にあり、情報収集と警戒監視に努める」と述べた。