米国が8日にロシア産原油の輸入を禁止し、今後の中国の動きに関心が集まっている。今回の制裁は、原油と天然ガスに対する経済依存度が高いロシアに大きな打撃を与えられるが、中国が余った量を積極的に受けいれる場合、制裁効果は大幅に落ちざるをえない。
2014年3月のロシアによるクリミア半島強制併合の際の状況を振りかえると、中国が販売先の減ったロシアの原油を受けいれる可能性は高い。中国は、2004年からロシアと天然ガスを導入する交渉を進めていたが、価格の問題などで契約を結べなかった。低価格を望む中国と国際価格で供給しようとするロシアの交渉が「長期膠着」に陥ったからだ。
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2014年のロシア制裁で…中国、国際価格より安く契約
しかし、クリミア半島問題により状況が変わった。西側がロシアを制裁するためにロシア産の原油と天然ガスの輸入を減らすと、中国とロシアは、国際価格より10%ほど低い価格で契約を締結した。当時の国際価格は、天然ガスは1000立方メートルあたり380ドルだったが、350ドル台で契約を結んだのだ。両国間に2018年までにパイプラインを設置し、30年間に天然ガスを年間380億立方メートル供給するという内容で、総契約額が4000億ドル(約46兆円)に達する天文学的な規模だった。中国は10年の交渉の末に価格を下げることに成功し、西側の制裁に追われたロシアは安定した長期契約先を確保できた「ウィンウィン」の契約だった。両国関係はこの時をきっかけに、政治・外交分野から経済を包括する非常に堅固な協力関係に発展していく。
8年後、ロシアのウクライナ侵攻で始まった今回の事態でも、中国が漁夫の利を得ることになる可能性が提起されている。中国は、原油と天然ガスのそれぞれ72%と44%を輸入に依存する。最近、ウクライナ問題によりエネルギー価格が急騰するなか、中国の足元にも火がついた。しかし、米国がロシア産原油などの禁輸措置を下すことにより、中国が今回もロシアからエネルギーを安く供給される可能性が高まった。国内総生産(GDP)の20%以上を原油と天然ガスに依存するロシアの立場としても、販売先を失った量を中国が受けいれるとなれば、一息つくことができる。
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中国とロシアのエネルギー協力、ウクライナ侵攻前にすでに約束
中国とロシアのエネルギー協力は、ロシアがウクライナに侵攻する20日前の先月初め、すでに始まっていた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は先月4日、中国の北京冬季五輪の開幕式に先立って行われた首脳会談で、中国の習近平国家主席に会い、大規模なエネルギー協力を約束した。ロシアは、中国に年間100億立方メートルの天然ガスを供給し、今後の10年間、計1億トンの原油を供給することにしたのだ。2014年の契約分も含めると、ロシアが中国に送る年間の天然ガス供給量は480億立方メートルに達する。
米国は警戒心を隠さなかった。米国のアントニー・ブリンケン国務長官は5日、中国の王毅・外交担当国務委員兼外相との電話会談で「どの国が自由と自決権、主権という基本的な原則を擁護するのか、世界が注目している」と述べ、中国が制裁に賛同するよう遠回しに圧迫した。しかし、王毅外相は7日、全国人民代表大会(全人代)の記者会見で「ロシアは最も重要な隣国」だと述べ、西側の制裁に参加しないという意向を明確にした。