本文に移動

中国、ロシアの肩を持つものの…「マジノ線」を超えない計算法

登録:2022-03-01 09:37 修正:2022-03-01 10:06
[ウクライナ戦争-新冷戦の序幕] 
 
武力侵攻などの極端な行動には一線を引き 
中国、ガス供給などロシアとの協力を強化 
「ウクライナ事態、米国の責任」強調も 
「安保理決議には反対でなく棄権」 
 
「紛争では孤立主義、外交は等距離」 
「主権尊重・領土保全」一貫した基調 
米と対決構図の中、欧州との関係も憂慮 
習近平主席、プーチン大統領に「交渉で解決」強調
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と中国の習近平国家主席=北京/AFP・聯合ニュース

 ロシアのプーチン大統領が24日、予想に反しウクライナ侵攻を「電撃決断」したことで、全世界の耳目が自然と北京の今後の行動に集中した。第2次世界大戦後の約70年間、国際秩序を規定してきたのは、米国・中国・ロシアの「3大国」の三角関係だった。米国と熾烈な戦略競争を繰り広げている中国が、露骨な「侵略行為」に目をつぶってはっきりとロシア側に立つか、自制を促すなど世界の動きに加わるかは、今後の世界秩序の行方を見通すうえで「決定的変数」にならざるを得ないからだった。

 ウクライナをめぐる葛藤が戦争へと突き進む間、中国はロシアの安保に対する憂慮を理解するという立場を明らかにし、米国の責任を強調する態度を示してきた。中国政府の立場を国外に代弁する英文紙「グローバルタイムズ」は、23日付で「どの国であれ、正当な安保に対する懸念は尊重されなければならない」という中国の王毅国務委員兼外相の発言を引用して報じた。米国がロシアに対して高強度の封鎖を続け、北大西洋条約機構(NATO)が東進し続けたことで、ロシアがウクライナに対する軍事的圧迫を強化するかたちで安全保障の要求を実現する選択をせざるを得なかったと指摘したのだ。今回の事態の責任が米国側にあるということを明確にしたわけだ。

 もちろん、中国はそれだけを指摘したわけではなかった。中国は機会あるごとに、すべての国家の主権と独立と領土は保全されなければならないという国連憲章に言及し、「ウクライナも例外ではない」と述べてきた。ロシアの安保への憂慮は認めるが、ウクライナの主権も保障されなければならないという二重の姿勢を示したのだ。

 西欧の専門家たちは、中国のこのような立場を中途半端だと解釈してきたが、ウクライナ情勢の展開がまだ不明な状況では、これは中国の出せる最善の答案だった。「主権尊重」と「領土保全」は、香港と新疆ウイグルの人権侵害問題や台湾に対する軍事的圧迫をめぐり西欧の批判が続くたびに中国が持ち出す「伝家の宝刀」だった。米国に対抗する中ロ協力を念頭に置きながらも、中国が核心の利益だと言ってきた重要懸案に対する一貫した立場を守るための、やむを得ない選択だった。

 しかし、戦争が始まった後の中国の立場は微妙に変わった。習近平国家主席は25日午後に開かれた中ロ首脳会談で「冷戦の精神を捨て、すべての国家が正当な安全保障上の憂慮を重視して尊重し、交渉を通じてバランスよく、効果的で、持続可能な欧州の安全保障体制を形成しなければならない」とし「中国はロシアとウクライナが交渉を通じて問題を解決することを支持する」と明らかにした。交渉の必要性を明らかにし、ロシアの武力行使に対してはそれとなく反対意思を明らかにしたわけだ。中国外交部の華春瑩報道官は「(これが)中国の一貫した立場だ」と強調した。

ロシア軍による25日未明のミサイル攻撃で廃墟になった建物を、ウクライナの軍人たちが見回っている=キエフ/ロイター・聯合ニュース

 これまでに中国が示している態度を総合すると、中国がロシアの側に立つことはあるが、武力行使などの極端な行動には一線を引く態度を維持するものとみられる。西欧のメディアと専門家らは今回の事態を「新冷戦の到来」と規定し、欧米対中ロ間の対決が激しくなりうると意味付ける一方、中国政府とメディアはこの事態を地域紛争として意味を縮小し、「冷戦的思考を捨てよ」と主張している。実際、中国は25日、ウクライナ侵攻に対する国連安全保障理事会(安保理)の糾弾決議案に対し、反対ではなく棄権票を投じた。中国は2014年3月のロシアのクリミア半島編入の時も承認せず、一定の距離を維持した。

 中国の専門家らも、慎重なアプローチが必要だと主張している。北京にある中国グローバル化センターの王輝耀会長は「中国は依然として米国との関係を維持しなければならない」とし「中国はしばらく米ロ間で等距離外交をしなければならない」と述べた。経済、国防、外交分野で米国と厳しい対決を繰り広げている中国が、自国が直接関与していない深刻な対立状況にまで足を踏み入れてはならないというのだ。さらに中国は、米国と違って欧州とは友好的な関係維持が可能だと見て、関係改善の努力をしている。特に欧州の盟主ドイツとは、アンゲラ・メルケル首相時代に友好的な関係を維持し、社会民主党が率いる「信号連立政府」とも意思疎通を試みている。

 歴史的にも中国は1949年の建国以来、朝鮮戦争(1950~1953年)を除けば、他国の戦争に直接参加はせず、傍観する態度をとってきた。台湾など自国とみなす領土については「核心の利益」と表現して強く対応するが、他国の戦争はその国の決定に委ねるべきという中国式孤立主義の立場を維持してきた。昨年8月、米軍のアフガニスタン撤退当時、習近平主席とプーチン大統領はアフガンに対する内政干渉に反対するという立場を示した。

 西欧では、中ロの協力強化は避けられないとみている。中国は、ロシアのクリミア半島編入の際にも4千億ドル(約481兆8千億ウォン)の天然ガスの供給契約を締結し、西欧の経済制裁の効果を相殺した。習主席とプーチン大統領は先月4日、北京冬季五輪開会式の前にも会い、天然ガスの供給を大幅に増やす長期契約をしたと明らかにしている。何より両国は、20年期限の中ロ善隣友好協力条約を2021年に延長するなど、冷戦後約30年間続いてきた米国式自由主義の国際秩序(米国一極体制)を、自分たちが重要な一軸を担う「多極体制」に転換するという戦略的目標を共有している。中国は「偉大なる中華民族の復興」、ロシアは「大ロシア帝国の復活」を夢見ているのだ。

 両国間には対立要素も少なくない。ユーラシア大陸東西の盟主として数千キロの国境を挟み、対立してきた長い歴史があるからだ。両国間の領土紛争は2000年代に解消されたが、旧ソ連の領土だった中央アジアに一帯一路(アジアと欧州をつなぐ中国主導の大規模インフラ建設計画)を前面に押し立てた中国の進出が続き、声なき凄絶な戦いが続いている。共同の敵である米国に対抗して協力関係を強化しているが、胸襟を開く同盟国になるのは難しい関係だ。

北京/チェ・ヒョンジュン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1032986.html韓国語原文入力:2022-03-01 07:10
訳C.M

関連記事