中国当局が防疫のレベルを下げた場合、重症患者と死亡者が急増し、「政治問題化」しかねないため、「段階的日常回復」(ウィズコロナ)は不可能だという現地の専門家の指摘が出てきた。北京冬季五輪を控え、「中国の特色ある防疫政策」の優越性を強調する主張が続いている。
7日付の「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」の報道を総合すると、清華大学公共衛生・健康学院の梁万年常務副院長は、「新型コロナの感染者に占める重症患者と死亡者はごくわずかに過ぎなくても、中国の人口が約14億人に達するという点を考慮すると、絶対的な数値は相当なものになる」と述べた。
また、「(ウィズコロナ政策を採択すれば)重症患者と死亡者がどの程度になるのかは、十分に想像が可能だ」としながら、「これは、公衆保健の側面だけではなく、政治的・社会的な問題になりうる」と指摘した。梁副院長は、国家衛生健康委員会の制度改革局長出身の感染病専門家で、中国政府の新型コロナの防疫政策関連の諮問委員を担当してる。
中国では、新型コロナの新規感染者が1人でも出た住居団地は完全に封鎖し、周囲の住民に対して全数検査を実施するなど、強力な防疫政策を2年ほど続けている。にもかかわらず、散発的な感染拡大の傾向は絶えることなく続いている。国家衛生健康委員会の集計結果によると、昨日の中国では、合わせて94人が新たに感染判定を受けた。このうち海外からの逆流入の感染者は34人で、内モンゴル自治区のフルンボイル(55人)を含め、黒竜江省・雲南省・浙江省などから合わせて60人の感染者が出た。
梁副院長は「各国はそれぞれ選択した優先順位による防疫戦略を立てている。移動の自由や生活の質を優先したり、集中治療施設や医療スタッフなどの公衆保健の能力に頼ったりしている」とし、「中国で新型コロナの初期防疫が成功できたのは、公共の利益のために喜んで不便を甘受した人民が示した高度な利他主義が最も重要な理由」だと強調した。
彼は、長期間にわたる封鎖式の管理による「疲労感」と「不満」は認め、「不満を抱くのは問題解決の助けにならない。中国は(ウィズコロナに入った)他の国々のように“放棄”はしないだろう」と強調した。さらに、「新型コロナウイルスは変異を繰り返すものであり、感染力と症状は次第に弱まるだろうという幻想を抱いてはならない」とし、「新型コロナウイルスは非常に複雑で、我々のそばに長く留まることになるだろうという点を認識しなければならない」と付け加えた。
これに先立ち、北京大学所属の数学者4人で構成された研究チームも、先月27日に「中国疾病予防統制センター週報」で発表した論文で、「中国がウィズコロナを導入した場合、1日の新規感染者は最大63万人を超えるだろう」とし、既存の「ゼロコロナ」政策を続けなければならないと主張している。