米国で新型コロナウイルス感染症の1日平均の感染確認数が10万人を超えた。デルタ株の拡散で6カ月前と同水準にまで状況が悪化し、防疫指針強化の動きも相次いでいる。
7日(現地時間)付の「ニューヨーク・タイムズ」の集計によると、米国の1週間の1日平均感染確認数は今月5日に10万199人で10万人を超え、6日には10万6723人を記録した。
米国の1日平均感染確認数は、今年1月初めに最高値の25万人あまりにまで急増したが、ワクチン接種が活発になったことで2月中旬には10万人を割り込み、7月初めには最低値の1万600人台を記録。しかしデルタ株が急速に広まったことで再び10万人を超えた。
今年初めと比較するレベルには達していないものの、入院患者と死者も再び増えている。米国疾病予防管理センター(CDC)の集計によると、1週間の1日平均感染確認数は7月21~27日には5506人だったが、その1週間後には7707人へと40%増えた。1日平均の死者数は1週間で280人から34.8%増の377人となった。
AP通信によると、入院患者はワクチン接種率の低い米南東部地域で急増している。CDCの発表によると、フロリダ、ジョージア、アラバマ、ミシシッピ、ノースカロライナ、サウスカロライナ、テネシー、ケンタッキーの8州が米国全体の新規入院患者の41%を占める。米国人口の50%がワクチンの2次接種を終えているが、アラバマ、ミシシッピなどは2次接種完了人口が35%以下。フロリダは米国全体の新規感染・入院の20%以上を占める。
CDCのロシェル・ワレンスキー所長は6日、CNNに対し「ワクチンを接種しなければ、1月初めの急増時と同様、1日に数十万人の感染者が出る可能性がある」と述べた。CDCは同日、ワクチンを接種していない人はコロナから回復しても、再感染率がワクチン接種者の2.34倍に達するという研究結果を公開し、ワクチン接種を促した。
主要都市や民間分野でも、ワクチン接種やマスク着用を義務付けたり、強く勧告する動きが拡大している。3日に米国最大の都市ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長が、食堂や公演会場、ジムなどの屋内大衆利用施設に入るためには、ワクチンを接種したことを立証しなければならないと述べたのに続き、ワシントンのミュリエル・バウザー市長もこの方針が必要かどうかを検討すると述べた。「ザ・ヒル」の報道によると、すでに「ユニオンスクエアカフェ」などのワシントンの一部の飲食店は従業員にワクチン接種を義務付け、顧客にもワクチン接種証明を要求することを決めている。スターバックスは、ワクチン接種の有無とは関係なしに、客に対してマスク着用を勧めている。マクドナルドはCDCの指針に従い、コロナの拡大が激しい地域では顧客に店舗内でのマスクの着用を要求している。
このような中、保健当局の承認が下りていないにもかかわらず、ワクチンのブースターショット(追加接種)を受ける例も現れている。米当局は、ファイザーとモデルナのワクチンは2回、ヤンセンファーマは1回接種することとしており、予防効果を強化するためのブースターショットはまだ承認していない。しかしCDCの資料によると、900人以上の米国人がワクチン接種を3回受けたことが医療従事者から報告されていることを、APが報じている。APは、ぜんそくと肝臓疾患の持病がある26歳の女性が医師に「最初の接種」と偽ってブースターショットを打ったケースなどを紹介している。CDCの資料は自発的な報告をまとめたものであるため、実際のブースターショット接種者はさらに多いと推定される。また、彼らのすべてがブースターショットを目的として積極的に接種を受けたと断定することもできない。しかしワクチン接種後、時間が経つにつれ効能に対する不安が高まっているという状況を示しているものと解釈される。
一方、マスク着用の義務化をめぐる衝突も起きている。今月末の始業を控え、CDCは教室でのマスク着用を勧告したが、フロリダ、アリゾナ、アーカンソーなどの一部の保守系の州政府は、保護者と生徒の選択に任せるとしてマスクの義務化を州法で禁止した。フロリダでは、このような州政府の決定に反発し、4つの教育区の教育長が生徒のマスク着用を義務づけることを決めた。アーカンソーでは、一部の教育区が州政府を相手取って反対訴訟を起こしている。