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日本で1万人超の爆発的感染拡大…緊急事態反復・五輪のために危機意識薄れる

登録:2021-07-29 20:10 修正:2021-07-30 08:12
29日、新規感染者数1万699人 
渋谷など繁華街で「五輪中継」居酒屋が繁盛 
「危機なのに国、自治体、国民の間で共有されていない」
東京・渋谷の様子=東京/AP・聯合ニュース

 日本で新型コロナ感染が初めて1万人を超えるなど爆発的に拡大したのは、繰り返される緊急事態宣言で防疫に対する危機意識が低下したためとの分析が出ている。これに加えて、東京の繁華街で五輪ムードを利用して夜遅くまで営業する居酒屋・レストランが増えるなど、五輪が感染拡大を煽っているような形だ。

 NHKは29日、新型コロナの一日の新規感染者が1万699人だったと報じた。昨年2月に新型コロナの流行が始まって以来最多となった。今年7月上旬に一日2千人を下回った感染者数は、今月14日に3千人台、21日に4千人台、22日に5千人台、28日に9576人と続き、初めて1万人台を超えた。五輪の競技が集中する首都東京ではこの日、一日の感染者数では最多の3865人の感染が確認された。神奈川、千葉、埼玉など首都圏3県と大阪も感染者が増え、緊急事態宣言は発令される予定だ。

 専門家らは、東京だけで4回目の緊急事態が発令されるなど「緊急事態宣言の反復」で危機感が弱まったことが、感染者急増の背景と捉えている。厚生労働省の諮問に当たる専門家らは「危機感が、国、自治体、そして国民の間で共有されているとは言い難い」と訴えたと朝日新聞が伝えた。緊急事態にもかかわらず流動人口が減らない中で、感染力が強いデルタ変異株が広がり、感染者が急速に増えたのだ。

 政府が「自粛」とは縁遠い東京五輪を強行し、強力な防疫対策が現場で受け入れられないことも影響を与えている。東京は緊急事態宣言によりレストランなどに酒類を提供せずに夜8時までに営業を短縮してほしいと要請しているが、五輪ムードの影響もあり効果が出ていない。

 NHKは「東京・渋谷の繁華街では、店の前に『オリンピック放映中』という貼り紙をして酒を提供しながら営業を続けている店もあり、多くの客が訪れていた」と伝えた。同放送は「深夜12時まで営業している飲食店では、28日夜はオリンピック、サッカー男子の日本の試合をモニターで流し、多くの客が酒を飲みながら店の外まで聞こえるほど大きな歓声があがっていた」と付け加えた。この店の主人は「都から出される協力金は十分ではなく、自分でどうにかするしかない。感染がさらに拡大しても、営業を続けるしかない」と吐露した。朝日新聞も「東京・上野の居酒屋の店内には、五輪の野球中継を見ながら、ビールジョッキを傾ける人たちがいた」とし「ほとんどの人はマスクを外したままだ」と報じた。

 政府や地方自治体も危機意識の弱化に一役買っている。東京都の小池百合子知事は28日、記者団に「今年1月の第3波時とは状況が異なると認識している。ワクチン接種が加速したことにより重症化しやすい高齢者の割合が減っている」と説明した。東京都の福祉保健局長は「いたずらに不安をあおるようなことはしていただきたくない」と話した。東京で連日感染者が最多を更新し、医療スタッフが負担を訴えているだけに、あまりに安易な発言との批判が起きている。

 日本政府に対し新型コロナ対策を助言する分科会の尾身茂会長は28日、国会に出席し「医療逼迫は始まっている」として「日本の社会みんなが危機感を共有することが今非常に重要だ」と強調した。

キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/sports/sportstemp/1005727.html韓国語原文入力:2021-07-29 18:08
訳J.S

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