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「誰のための復興? 誰のための五輪?」…日本、怒りふつふつ

登録:2021-07-19 02:28 修正:2021-07-19 09:15
[D-5東京五輪]イ・ジュンヒ記者のドキドキ!東京
17日、トーマス・バッハ会長が宿泊する東京のホテルに向かおうとしている東京五輪反対のデモ隊。警察が阻止している=東京/AFP・聯合ニュース

 

「嘘です。国民の気持ちを悪用しているんです。そのお金は災害で被害を受けた方たちのために使うべきだったんです」

 タカセユリさん(27)は、安倍晋三前首相をはじめとする日本政府が掲げた「復興五輪」という名称をどう思うか、との問いにきっぱりと答えた。東京で小学校の教師をしているサトウミワコさん(仮名、24)も「問題を収拾してから五輪を開催してこそ復興五輪になるのであって、目の前に問題があふれているのに五輪を開催すること自体がミステリー」と述べた。このように本紙が現地でインタビューした日本人は、おおむね五輪に対して否定的な反応を示した。

 最大の懸念は新型コロナウイルスの拡散問題だ。日本の「毎日新聞」と社会調査研究センターが先月19日に日本の有権者に対して実施した世論調査によると、東京五輪は「安全・安心」の形で開催できるかとの問いに対し、回答者の64%が「できるとは思わない」と回答した。日本は今月14日以降、4日連続で新規感染者が3000人を上回っている。

 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は8日、東京に到着後、「これまでで最も準備の整った五輪」と自信を示したが、16日に選手村で感染者が初確認され、懸念が生じた。2人のコロナ感染者が確認されたウガンダ代表選手団の1人が大阪で姿をくらましたことが伝えられ、不安が高まっている。防疫に穴があいたというシグナルとして受け取られかねないからだ。現在、東京五輪関連の累計感染者は45人。

 人口100万人あたりの平均感染者数を見ると、日本(約6600人)は世界平均(約2万4000人)と比べてましな方だ。日本より状況が悪い国は140カ国を超える。しかし拡散が収まらないため、日本の国内では「この状況で世界中の人々を集めて大会を行う必要があるのか」という不満の声があがっている。

IOCのトーマス・バッハ会長が17日、東京都江東区のメインプレスセンター(MPC)で記者会見を行っている=東京/共同通信・AP・聯合ニュース

 こうした状況を意識したかのように、バッハ会長は17日、東京江東区のメインプレスセンター(MPC)を訪れ、「日本国民には、東京五輪に参加する選手を歓迎し、支援してほしいと謙虚に要請する」と低姿勢を示した。しかし日本列島の不満は収まっていない。菅義偉内閣の支持率も連日最低値を更新している。大学生のスズキレンさん(仮名、21)は「東京でも五輪の雰囲気はほとんど感じられない」との指摘に対し「表面上は静かに見えるが、下では煮えくり返っている」と説明した。

 バッハ会長が選手たちを前面に押し立てていることも、日本人たちの気を悪くさせている。大学で情報学を専攻するキタタニセイコさん(21)は「IOCと政府は選手のために最善を尽くしていると言っているが、日々暮らしている私たちも大変な苦労をしている。結局、自分たちの利権のために大会をやるくせに、選手たちを押し立てて正当化しないでほしい」と批判した。

 国民経済を押し立てる政府に対する苦言も飛び出した。五輪のサッカー競技が開催される東京の隣の埼玉県のビジネスホテルで働くタカハシクミコさん(仮名、57)は「宿泊客が増えなくてもいい。五輪開催は望まない。ほとんどの日本人はコロナを終息させることこそ急務だと思っている。日本で感染者が増えるのはもちろん、旅行の過程で他国の人たちも感染する危険性がある」と厳しく批判した。

 日本人は今や、五輪に対する根本的な問いを投げかけている。「最近の五輪のニュースを見ると、いったい誰のための大会なのか考えてしまいます。私は幸い職を失ってはいませんが、周りには職を失った人や、毎日のように廃業に対する不安を抱えて生きている人がいます。誰のための復興で、誰のための利権なんでしょうか」。現在の東京の民意の込もったモリサチコさん(仮名、42)の問いかけだった。

東京/イ・ジュンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1003947.html韓国語原文入力:2021-07-18 09:59
訳D.K

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