東京五輪を控え、新型コロナ感染拡大の勢いが衰えない中、日本全国の知事が五輪期間中に人々の移動を抑えなければならないとして、徹底した防疫対策を呼び掛けた。「全競技無観客」をめぐり、知事の間で神経戦も繰り広げられた。
12日付けの時事通信の報道によると、全国知事会は11日、オンライン会議を開き、23日の開幕を控えた東京五輪の際、感染を拡大させないための案などについて話し合った。東京都の小池百合子知事は会議に参加しなかった。
鈴木直道・北海道知事は、「政府に対し、テレビ観戦などを国民に促すよう要請」することを呼び掛けた。大村秀章・愛知県知事は「感染のリスクを避けるため、パブリックビューイングを全国的に控えるべき」と主張した。五輪競技のほとんどが「無観客」で行われるが、日本人選手が活躍すれば競技場周辺に人が殺到したり、街頭や公園で酒宴が行われる可能性があるからだ。
五輪の際、全競技を無観客で行うべきだという声もあがった。佐竹憲久・秋田県知事は「言いにくいが、全部無観客にしていただいた方がいい」とし、「往来を相当厳しく制限しないと感染拡大は防げない」と強調した。今回の五輪で、秋田県で予定された競技はないため、佐竹知事の発言は競技が開かれる他の地域を念頭に置いた発言といえる。
五輪競技が行われる9つの自治体のうち、6地域では無観客が決まり、宮城県など3地域のみ観客の受け入れを認めることにした。これに対し、村井嘉浩・宮城県知事は「観客を入れて行うことが決定し、もう準備を始めている」とし、知事会の提言に「全国で無観客」を盛り込むことについては反対した。
一方、東京都は12日から来月22日までの6週間、4回目の緊急事態宣言が発令された。東京五輪は23日に開幕し、来月8日まで予定されているため、大会期間中は緊急事態が続く。埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府に適用中だった緊急事態に準ずる「まん延防止等重点措置」も来月22日まで延長された。 日本政府は緊急事態の期間中、飲食店で酒を販売せず、午後8時に営業を終了するよう要請している。東京の11日の新規感染者は614人で、1週間前と比べ96人増えた。東京の新規感染者数は22日連続で、前週の同じ曜日より増加している。