東京など首都圏と北海道に続き、“復興五輪”スローガンの象徴ともいえる福島で開かれる競技までも“無観客”状態で実施されることが最終決定された。“無観客”地域が増えて、東京五輪競技全体の97%は無観客開催となり選手たちだけが参加する。
朝日新聞は「福島県で観客を入れて開催する予定だった東京五輪のソフトボールと野球について、内堀雅雄・同県知事は10日、全て無観客で実施すると発表した」と11日付で報じた。無観客とした理由について、内堀知事が県内での新型コロナウイルス感染者の増加や北海道が無観客に転じた点を挙げ「総合的に判断した」と述べたという。
同紙は「福島県の方針転換は、『復興五輪』の象徴として宮城、福島両県の有観客にこだわってきた組織委に大きなショックを与えた」と伝えた。読売新聞も福島の無観客決定に関して「『復興五輪』が遠くにかすんだ」と報道した。内堀雅雄福島県知事も記者団に「復興五輪の骨格は残ったが、我々が思い描いていた全体像とは違うものになってしまった」と述べた。
日本政府は、東京五輪を利用して2011年に発生した福島原発事故の被害を克服したという広報を最大化する予定だっただけに、打撃が大きくならざるをえない。日本政府は、五輪聖火リレーを福島で始めたのに続き、大会の最初の試合であるソフトボール競技を推進するなど「復興五輪」のイメージ作りに努めてきた。
これに先立って北海道も無観客競技を決めた。鈴木直道北海道知事は9日午後11時過ぎに緊急記者会見を行い、「道民の安全のために無観客とすることにした」と発表した。北海道では男女サッカー競技が予定されている。
北海道と福島の決定により、無観客で競技をおこなう地域は東京、埼玉、神奈川、千葉の首都圏4カ所を含め計6カ所に増えた。五輪競技は9つの地方自治体の42競技会場で予定されているが、無観客を決めた6都道県に88%(37会場)が集中している。競技全体で見れば96.5%が無観客で実施され、選手たちだけが参加することになる。観客を入れる所は宮城(サッカー)、茨城(サッカー)、静岡(自転車)の3県だ。
一方、日本の一日の新規感染者は今月7日から10日まで4日連続で2千人を超えるなど、五輪開幕を控えて感染状況はますます悪化している。特に来月22日まで緊急事態宣言が適用される東京は、10日の感染者が950人で1週間前に比べ234人(32.7%)増えた。