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日本政府が福島原発汚染水の海洋放出の月内決定を見送った理由とは

登録:2020-10-26 06:27 修正:2020-10-26 06:44
東電「漁業関係者の理解に基づく処分」文書で約束 
漁業関係者が激しく反発 
強力な補償対策で説得に乗り出す見込み
日本福島原発の汚染水を保管しているタンク/聯合ニュース

 日本政府が27日、福島第一原発敷地のタンクに保管中の汚染水の海洋放出を決定しようとしたが、いったん見送った。漁業関係者をはじめ国民的な反対世論が高まった上、東京電力が2015年に「漁業関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」ことを文書で約束したことによる避けられない措置とみられる。

 朝日新聞など日本のメディアは25日付で、日本政府が原発汚染水の海洋放出に対する反発を和らげるには一定の時間を要すると判断し、決定を見送ったと報じた。海洋放出の方針は維持するものの、説得に向けて時間を稼ぐための措置と見られる。

 汚染水の海洋放出巡り、日本国内の反発は激しい。直接的な打撃を受ける漁業関係者が最も積極的だ。全国単位の漁業団体である「全国漁業協同組合連合会」は、「海洋放流に絶対反対する。漁業関係者全体の意向だ」と述べ、経済産業相、環境相、農林相などと相次いで面会し、反対の意を明らかにした。

 彼らは東京電力が5年前に交わした約束を守るべきだと主張している。東京電力は2015年8月、社長名義で汚染水海洋放出に関し「(漁業)関係者のが理解なしには、いかなる処分も行わない」と文書で約束した。同文書は福島県漁業協同組合連合会の要望に対する回答として作成された。朝日新聞は、今年4月の政府の意見聴取で福島県漁連の野崎哲会長が行った「当時の約束が今後も(国と当然との)信頼関係を維持する上で重要な論点」という発言を取り上げた。漁業関係者は原発の汚染水が海洋放出された場合、日本の海が「放射性物質汚染地域」と認識され、「日本の漁業全体を駄目にする恐れがある」と判断している。

 日本政府は、漁業従事者を説得しない限り、海洋放出の実施は難しいとみて、強力な補償対策をまとめているという。読売新聞は「福島など特定地域や期間を定めず、全面的に被害を補償する予定」とし、「水産物など価格が落ちた場合、東電が買い入れるか補償する案が取り上げられている」と報道した。政府の意志を示すため、対応チームの設置も検討されている。

 一般市民の否定的な世論が大きいのも負担になっている。 日本政府は主要政策を決定する際にオンラインなどで一般国民の意見を聞く「パブリックコメント」の手続きを7月まで実施し、最近結果が分かった。毎日新聞は24日付で、「全体4011件のうち、安全性への懸念が2700件、(放射能汚染地域など)風評被害・復興の遅延への懸念が約1千件に達した」と報じた。

 日本政府は、放射性物質を除去し、トリチウム(三重水素)などは国際基準値以下に薄めて放出すればば、国際法上問題はないという立場だ。しかし日本内外の心理的・社会的抵抗が大きいため、情報をきちんと伝えることで被害を減らすという計画だ。

キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/967147.html韓国語原文入力: 2020-10-26 02:32
訳H.J

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