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トランプ大統領の「新型コロナ武漢研究所起源説」にファイブアイズ「根拠なし」と反論

登録:2020-05-06 06:42 修正:2020-05-06 13:34
オーストラリアの「デイリー・テレグラフ」 
米・英・豪・ニュージー・カナダの情報ネットワークの文書を引用し 
「中国が意図的に情報を隠蔽」と報道 
 
該当国らは「文書を製作したことない」 
中国に圧力をかけるため米国が流した偽情報の可能性も 
WHO「新型コロナはすべて自然由来」
新型コロナ武漢研究所起源説をめぐる米中の舌戦//ハンギョレ新聞社

 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は中国武漢の研究所から流出された」というドナルド・トランプ米政府の主張をめぐり、“情報戦争”が激化している。COVID-19の発生と感染拡大の責任をめぐり、米中の政治的攻防が加熱する中、フェイクニュースに類似した偽情報まで加わり、混乱を極めている。

 米国や英国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダの英語圏西側諸国の情報機関のネットワークである「ファイブアイズ(Five Eyes)」の消息筋は、新型コロナウイルスが中国武漢の研究所から流出したというトランプ政府の主張を裏付ける証拠はないと述べたと、「ガーディアン」などが4日付で報じた。前日、オーストラリアのタブロイド紙「デイリー・テレグラフ」がファイブアイズの情報文書を入手したとして、COVID-19の「中国武漢研究所起源説」などを取り上げたことがあるが、その「15ページの文書」はファイブアイズの情報ネットワークから出たものではないと明らかにしたのだ。

 「デイリー・テレグラフ」がファイブアイズの内部文書だとして報じた記事は、COVID-19の発生および拡散に関するタイムラインを暴露し、中国が関連情報を意図的に隠蔽して破棄したという疑惑に焦点を当てている。特に、COVID-19の起源がどこなのかについては特定しなかったものの、中国華南理工大学の報告書を引用し、COVID-19が武漢研究所から流出したことを示唆している。しかし、この華南理工大学の報告書は、今年2月に発表されたもので、具体的な科学的証拠なしに武漢ウイルス研究所からCOVID-19が流出したと主張し、学界では認められていない。同報告書のある著者ものちに、ウォールストリートジャーナル紙との会見で、自分たちの主張を撤回した。

 オーストラリアでは、「デイリー・テレグラフ」が報じた文書が、ファイブアイズのネットワークから出た情報ではないだけでなく、インターネットなどに公開された資料を寄せ合わせたレベルにすぎないと指摘された。オーストラリア情報当局のある関係者は「ガーディアン」とのインタビューで、「デイリー・テレグラフ」などマスコミ財閥のルパート・マードック氏所有のマスコミ各社が報じる記事の出所はほとんど米国だとし、「中国に対する偽情報を構築し、圧力をかける道具にしようとしているのではないかと思う」と説明した。米国が中国責任論を浮き彫りにするため、偽情報を流しているという意味だ。

 先月30日、トランプ大統領が公にCOVID-19武漢研究所起源説を匂わせる発言をしたことで、国際的に中国への非難世論が高まっている。トランプ大統領は当時、「武漢研究所でウイルスが発生したという主張を裏付ける証拠があるのか」という取材陣の質問に「そうだ」と答え、論議を水面上に引き揚げた。さらに、マイク・ポンペオ国務長官は3日、「そこからウイルスが始まったという確かな証拠がある」と述べ、物議を醸した。

ドナルド・トランプ米大統領が今月4日、ワシントンのリンカーン記念館で開かれたタウンホールミーティングで演説している。トランプ大統領は、「COVID-19が中国の研究所から流出した」と主張し、物議を醸している=ワシントン/EPA・聯合ニュース

 問題は、トランプ大統領とポンペオ長官が具体的な証拠も示さず、「武漢研究所起源説」を拡大再生産していることにある。国際問題専門雑誌の「フォーリン・ポリシー」は4日、中国を綿密に観察する3つの米情報機関の消息筋の話として、情報当局内に「この問題についての合意はなく、結論を出すだけの情報もない」と報じた。米国情報機関を統括する国家情報局(DNI)は「(今回の事態が)武漢のある研究所で起きた偶発的事故の結果なのかどうかは調査中」という主張を繰り返しているだけだ。ニューヨーク・タイムズ紙は最近、トランプ大統領側の高官らが情報機関にCOVID-19と武漢研究所を結びつけるよう圧力をかけていると報じ、こうした圧力がCOVID-19に対する評価を歪曲し、中国との戦いをエスカレートさせる武器として使われかねないとして懸念を示した。

 中国側は4日、中国中央テレビジョン(CCTV)の論評を通じて、「邪悪なポンペオが毒を吐き出して、嘘を広めている」と強く非難した。ファイブアイズ加盟国の間でも懐疑論が根強い。「フォーリン・ポリシー」は、ファイブアイズ加盟国のうちオーストラリアや英国、カナダは米国の主張を支持していないと報じた。カナダのトリュド首相が「確固たる結論を下すにはまだ早い」と述べたのが代表的な事例だ。英国首相室の報道官もCOVID-19の起源及び拡大問題について、「中国を含む国際的パートナーたちと共に対応する必要がある」と述べた。COVID-19の由来と拡大に関して疑問点がないわけではないが、トランプ政府が主張しているように武漢研究所起源説を裏付ける明白な証拠は確保されていないことを示唆したのだ。

 世界保健機関(WHO)は同日、米国が提起する武漢研究所の起源説は「推測に基づいたもの」だと一蹴した。WHOで健康関連の緊急事態対応を統括するマイケル・ライアン氏は同日、インターネットを通じて行われた記者会見で「まだ米国政府からCOVID-19の起源に関するいかなる証拠も受け取っていない」とし、このように述べた。WHOの新型感染症対策部門を率いるマリア・ファン・ケルクホーフェ氏はさらに「COVID-19に関連する1万5千個の遺伝子配列を確保しているが、私たちが確認した限りでは、すべてが自然界に由来したもの」だと述べた。

チョン・ウィギル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/943653.html韓国語原文入力:2020-05-06 02:39
訳H.J

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