「非常に大きな取引だった。私たちは原則的に合意した。数十億ドルだ。(米国の)農民にとって途方もないものだ」
25日午後、主要7カ国(G7)首脳会議の場所であるフランスのビアリッツで、ドナルド・トランプ米大統領は安倍晋三日本首相の隣に座り、自身が日本と貿易交渉で得た成果を自慢した。トランプ大統領は「安倍首相は米国の各地で残ったとうもろこしを購入することに同意した。中国が自分たちが買うと言っていたもの(とうもろこし)を買わなかった。そして安倍首相がそのとうもろこしを全量買うことにした」と自慢し続けた。
トランプ大統領と安倍首相は25日、二度の首脳会談を開き、米国の農畜産物輸入を増やす内容の貿易協定案に大枠で合意した。両首脳は来月、ニューヨークで開かれる国連総会の時に再び首脳会談を開き、貿易協定に署名する予定だ。
トランプ大統領の自慢からうかがえるように、今回の合意内容を見ると日本の譲歩が目立った。米国の対日主要輸出品である牛肉の関税率を、現在の38.5%から段階的に9%まで引き下げるという内容が代表的だ。一方、米国は日本の要求事項だった日本産乗用車の関税率2.5%の漸進的撤廃を受け入れなかった。米国はかつて環太平洋経済パートナー協定加入交渉時も乗用車関税の漸進的撤廃に合意していた。
そのため日本国内でも、トランプ大統領の来年の大統領選挙を助けるために日本が一方的に譲歩したのではないかという指摘が出ている。東京新聞は「安倍首相が日本の農家の反発を懸念して(米日貿易交渉の)妥結時点を7月の参議院議員選挙後に遅らせたことで、トランプ大統領への借りがある。しかも安保分野で日韓対立と米中貿易摩擦など国際情勢不安のために日米関係が緊密だということを演出しようとする意図も伺える」と指摘した。
日本が今回米国に大幅譲歩をするだろうことは、すでに予想されていた。そのため日本では、早期妥結で追加要求を防いだという評価もある。日本経済新聞は、米国は成果を急ぎ、日本は範囲を狭めて米国の要求増加を回避したと伝えた。日本の菅義偉官房長官は26日、定例記者会見で「(日米首脳が)貿易問題を含む両国関係と様々な国際社会の課題について意見交換したことはきわめて有意義だった」と自評した。
米日首脳は異例にも25日午前と午後の二度にわたり首脳会談をした。二回目の首脳会談の後の共同記者会見は、トランプ大統領の要請により予定外で急遽なされた。安倍首相の口を通じて自身の成果を客観的に見えるようにしようとするトランプ大統領の意図が伺える。日本の記者団は、米国のテレビで中継が始まってしまってから、二回目の会談事実を知り外務省に問い合わせをしたと東京新聞は伝えた。