「韓国最高裁(大法院)の強制動員の賠償判決のため、日本が被害者になったと宣伝するのが最も大きな問題だ」
日本近現代史研究者の竹内康人氏(62)は、安倍晋三政権が韓国最高裁の強制動員被害賠償判決を国際法違反だと主張することについて、このように指摘した。彼は10日、東京千代田区の在日本韓国YMCAで、「2019平和の灯を! ヤスクニの闇へ キャンドル行動」(ヤスクニキャンドル行動)の主催で開かれたシンポジウムにパネルとして参加した。同日の発表後に行われたハンギョレとのインタビューで、彼は「日本政府は植民地支配の違法性を認め、1965年日韓請求権協定で解決できなかった問題の解決に向けて、今からでも乗り出さなければならない」と話した。彼は30年間にわたり、強制動員問題を研究しており、『調査・朝鮮人強制労働』(4冊シリーズ)という本を書いた。
竹内氏は「安倍政権は、韓国最高裁の判決が日韓請求権協定に明白に違反しており、日韓関係の法的基盤を崩すものであると共に、戦後の国際秩序に挑戦するものだと宣伝している。こうした態度のうえで、植民地支配を全く反省しないまま経済報復を行い、韓国を屈服の対象と見なしている」と述べた。彼は韓日請求権協定以前の韓日交渉資料によると、韓日請求権協定は「あくまでも財産請求権に関する問題」として解釈できると指摘した。また、日本政府が当時、政策として個人の損害賠償請求権までなくそうとしたが、「理論的に消滅させることはできなかった」と述べた。個人の請求権は基本権に属する問題であるからだ。
強制動員の実態を長い間調査してきた彼は、強制動員に対する韓国の一部の態度にも問題があると指摘する。「日本から韓国に(朝鮮人)遺骨が送還される際、全員が徴用被害者であるかのように描写する場合が多い。しかしすべての人が動員されたとは言い切れない。高島炭鉱に強制動員された朝鮮人が4万人という説も韓国で持ち上がったが、実際は4000人と推定される。歴史を歪曲する人々は一つの誤りを抜き出して、全体を否定するため、気を付けなければならない」と述べた。
また、日本の保守派民間団体が「朝鮮人と日本の労働者の仲が良かった」とか「差別はなかった」という端島住民の証言を前面に押し出していることに対し、「(日本人と朝鮮人の)子どもたち同士、または一部の現場労働者が仲良くしていたことはもちろんあった。しかし、そんなことを前面に掲げて、国家が(朝鮮人を)集団で動員した事実を隠し、島から脱出できない状況に追い込んだという根本的な問題は見せない」と述べた。また「強制動員は数字の問題ではない。一人の命の問題だ。(強制動員で犠牲になった)人の未来を奪った問題だ。日本政府は既に解決済みの問題と言っているが、真相究明と被害者の尊厳の回復、歴史の継承が真の解決ではないか」と付け加えた。