30日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領とドナルド・トランプ米大統領の首脳会談は、北朝鮮の非核化問題とともに、貿易・経済問題も主要議題になるものと見られる。トランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の“電撃的な対面”はないと、米高官が明らかにした。
ジョイ・ヤマモト米国務省韓国課長は、24日(現地時間)にワシントンで開かれた米国のシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)と韓国国際交流財団の共同主催の「韓米戦略フォーラム」で、トランプ大統領の29~30日訪韓について、「北朝鮮の非核化交渉が韓米が直面した最も重要な問題であり、これが首脳会談の“第一”議題ということは疑いの余地がない」と述べた。
関心を集めているのは、北朝鮮に対するトランプ大統領のメッセージだ。特に、非武装地帯(DMZ)への訪問を検討中であると見られ、朝米対話を再開させる案を提示するかどうかにも注目が集まっている。トランプ大統領は同日、記者団に、金委員長と最近交わした親書について、「双方間で非常に友好的な手紙だった。我々は本当に良い関係を保っている」と述べた。27~30日に訪韓するスティーブン・ビーガン米国務省北朝鮮政策特別代表は19日、「柔軟なアプローチ」に言及し、米国が北朝鮮に対し、“ビッグ・ディール”の敷居を下げるのではないかという見通しも示された。
しかし、まだ“破格の提案”を期待する専門家はそれほど多くない。国家安保戦略研究院のチョ・ソンニョル諮問研究委員は「4月の韓米首脳会談で言及した韓国の対北朝鮮人道支援に対する理解を共有し、制裁の緩和については非核化に意味のある進展があった時に考慮してみるというメッセージを送る可能性がある」と話した。
トランプ大統領の対北朝鮮メッセージは、韓米首脳会談の前日の29日、日本の大阪で主要20カ国・地域(G20)首脳会議を機に開かれる米中首脳会談の結果とも関わっている。20~21日に北朝鮮を訪問した習近平主席がトランプ大統領に伝える金委員長のメッセージの内容と、米中貿易交渉関連の論議が、その直後の韓国訪問の内容に影響を及ぼす可能性がある。
貿易・経済問題も大きく取り上げられる予定だ。ヤマモト課長は「今回の韓国訪問を通じて、両首脳が目指すのは韓米同盟の持続であり、韓米同盟は北朝鮮問題を越えて、多くの分野にわたっている。韓国は経済的イシューでも協力できるということを示した」とし、韓米自由貿易協定(FTA)の改正を成功事例として挙げた。また「(トランプ大統領の)インド太平洋政策と(文大統領の)新南方政策間の相乗効果があることを発見している」と述べた。
国家安保戦略研究院のキム・ヨンジュン研究委員は「貿易収支と関連し、大統領選挙が近づいているだけに、トランプ大統領が韓国にさらなる協力を求める強いメッセージを出す可能性もある」と予想した。対イラン制裁と反華為(ファーウェイ)戦線への参加をめぐる話し合いも考えられる。
ヤマモト課長は防衛費分担金関連の質問に「我々は全世界にわたる防衛費分担金政策の見直し作業が終われば、近いうちに次期韓米防衛費分担金特別協定に対する交渉を始めることを望んでいる」とし、「韓国の追加分担金を要求するだろう」と述べた。今回の会談で、防衛費分担金の引き上げまで取り上げられるかに注目が集まっている。
一方、米政府高官は「トランプ大統領が金委員長に会う計画があるか」という質問に対し、「そのような計画はない。文大統領に会いに行く」と答えた。