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[社説]G20控えて行われた朝米“親書外交”に注目する

登録:2019-06-24 06:53 修正:2019-06-24 09:14
北朝鮮の金正恩国務委員長が執務室とみられる空間でドナルド・トランプ米大統領の親書を読んでいる姿を朝鮮中央通信が23日報道した//ハンギョレ新聞社

 朝米首脳間の書信を取り交わす“親書外交”が再稼働している。数日前、ドナルド・トランプ米大統領が、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長から「美しい親書」が届いたと述べたが、今回は金委員長がトランプ大統領の「素晴らしい内容」の手紙を受け取ったと、23日に明らかにした。ここ数カ月間、朝米交渉が膠着状態に陥っていたが、両首脳間の友誼と信頼は続いていることを示すものだ。さらに、今週の主要20カ国・地域(G20)首脳会議を機に、韓米中首脳間の会談が行われる予定であり、さらに目を引く。朝米の対話復帰につながる足掛かりになることを期待する。

 金委員長は親書について、「すばらしい内容が込められている」と満足感を示したという。また「トランプ大統領の政治的判断能力と並々ならぬ勇気に謝意を表する」としたうえで、「興味深い内容を深重に(慎重に)考えてみる」と述べた。金委員長の反応から、(トランプ大統領に対する)好意がうかがえる。具体的な内容は明らかにしなかったが、慎重に検討してみるべき重要な提案があることも示唆している。「労働新聞」などはこれを1面で大々的に報じたが、北朝鮮メディアの親書関連報道は前例のないことだ。それだけ北朝鮮が今回の親書の意味を高く評価していることを裏付けている。

 先日、トランプ大統領は金委員長から「とても暖かく、素敵な」、「美しい」親書が届いたと明らかにした。今回の手紙はこれに対する返事といえる。朝米首脳は、過去二回の会談の推進過程で、思いがけない難関にぶつかったとき、手紙をやり取りすることで、対話の意志と信頼を再確認した前例がある。今回の書信交換も2月末にハノイで開かれた2回目の朝米首脳会談が物別れに終わって以来、道を失った交渉を再び本来の軌道に乗せるテコになることを期待する。

 今回の書信交換は、時期的に先週の習近平国家主席の訪朝と今週行われる予定の米中首脳会談の間に公開された。習主席の訪朝が貿易紛争中の米国との首脳会談を控え、“北朝鮮カード”を活用しようという意図に過ぎないという分析もあるが、必ずしもそう考える必要はない。実際、金委員長は先週、習主席の訪朝をきっかけに「忍耐心を維持する」として、改めて公開的に対話の意志を明らかにした。これに対し、習主席は「朝鮮半島問題の政治的解決」を支持すると答えた。金委員長が今回の親書に積極的に謝意を表明したことで、習主席が数日後、主要20カ国・地域首脳会議を機に開かれる米中首脳会談でトランプ大統領に北朝鮮の対話意志を伝えるのに、より友好的なムードが作られたといえる。

 トランプ大統領は主要20カ国・地域首脳会議後、韓国を訪れ韓米首脳会談を行う。政府は、“親書外交”により南北米中4者間の外交舞台が平壌(ピョンヤン)から大阪を経てソウルにつながって開かれる今回の機会に、朝米間の非核化対話が再開されるよう最大限知恵を発揮しなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/898984.html韓国語原文入力:2019-06-23 19:19
訳H.J

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