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[ニュース分析]朝米首脳、親書で「再び交渉すべき時」に共感

登録:2019-06-24 06:17 修正:2019-06-24 09:08
金委員長、トランプ大統領の返事に 
「すばらしい内容…深重に考える」 
 
6カ国、G20前後に相次いで会談 
朝鮮半島平和の時計、回り始める 
大統領府「朝米、対話のモメンタム維持していく」
北朝鮮の金正恩国務委員長が執務室とみられる空間でドナルド・トランプ米大統領の親書を読んでいる姿を朝鮮中央通信が23日報道した//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員とトランプ米大統領の「親書外交」が再稼働した。今年2月27~28日にハノイで開かれた朝米首脳会談が物別れに終わって以来、見通しが立たなかった朝鮮半島平和プロセスが、再び対話と交渉の軌道に乗っている。

 朝中首脳会談(20~21日、平壌)や主要20カ国・地域(G20、28~29日、大阪)首脳会議、韓米首脳会談(29~30日、ソウル)などを機に、南北米日中ロの北東アジア6カ国首脳が相次いで会談を開き、朝鮮半島平和プロセスに向けた対話と交渉の構図の大枠が決まる見通しだ。

 問題は、「ハノイ・トラウマ」と呼ばれるような朝米の“深くて大きな隔たり”を埋め、対話・交渉の器に盛りつける“内容”を揃える難解な高次方程式をいかに解くかだ。結果を楽観視できない至難な過程だ。それでも“朝鮮半島の平和の時計”が再び速く回り始めたのは明らかだ。

 北朝鮮の3大主要メディアの「労働新聞」や「朝鮮中央通信」、「朝鮮中央テレビ」は23日、トランプ大統領が金正恩委員長に親書を送ってきたと、一斉に報道した。金委員長は、親書を読んで「素晴らしい内容が書かれている」と述べ、「満足感を示した」と、「労働新聞」が1面トップで報じた。金委員長は「トランプ大統領の政治的判断能力と並々ならぬ勇気に謝意を表する」とし、「(親書の)興味深い内容を深重に考えてみる」と明らかにした。「深重に考える」とは、「落ち着いて深く考える」という意味だ。トランプ大統領の親書に関する金委員長の今後の行動を推測できるキーワードだが、「北朝鮮式の表現では『応じる』という意味」だと、北朝鮮事情に詳しい元高官は説明した。

 「労働新聞」などは親書が届いた時期は明らかにしなかった。トランプ大統領は11日(現地時間、ホワイトハウス)と17日(タイム誌とのインタビュー)の2回に分わたって、「昨日(金正恩委員長から)親書が届いた」と述べた。トランプ大統領は親書の内容と関連して「美しい手紙、とても素敵な手紙」(11日)や「なかなか良い」(17日)という反応を示した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は13日、ノルウェー首相と会談した後、記者会見で「(金委員長の)親書にトランプ大統領が発表していない興味深い内容もある」と述べた。金委員長とトランプ大統領が、6・12シンガポールの共同声明1周年前後に交わした親書に肯定的なうえに、両方とも「興味深い内容」が書かれているという反応を示したことが目を引く。金委員長とトランプ大統領が互いに何か“重要なメッセージ”を送った可能性を示唆する。

ドナルド・トランプ米大統領が先月20日、ペンシルバニア州で遊説して拳を持ち上げている/AP・聯合ニュース

 朝米首脳の“親書外交”の再稼働と関連し、政府関係者は「朝米双方が“(再び)交渉をすべき時”ということに共感していることを裏付けるもの」だと指摘した。大統領府のコ・ミンジョン報道官は「政府は朝米首脳間で行われている親書の交換が朝米対話のモメンタムを維持していくという点で、肯定的に評価する」とし、「政府は韓米間疎通を通じて(親書の交換を)把握していた」と述べた。

 金委員長がトランプ大統領からの親書を受け取った事実を公開した方法と時期にも注目する必要がある。対外用の「朝鮮中央通信」に加え、対内用の「労働新聞」と「朝鮮中央テレビ」まで動員された事実から、金委員長が「再び動き出す時」というメッセージを幹部たちと人民に伝えようとしたものと見られる。公開の時期として朝中首脳会談直後を選んだことについて、元高官は「金委員長がトランプ大統領とより深い対話と信頼を築くことを前提に、習近平主席に会ったことを示そうとしたものと思われる」と指摘した。

 朝中首脳の「共通認識、見解の一致」(「労働新聞」21・22日付)をもとに、習主席が大阪に持っていく金委員長との協議の結果をめぐり、米中や韓中、韓米首脳が対話と交渉の大きな流れを作っていかなければならない。スティーブン・ビーガン米国務省北朝鮮政策特別代表の週明け訪韓の際、板門店(パンムンジョム)などで朝米の水面下の接触が実現するかどうかも、関心事だ。

 問題は重要当事者の朝米間の“深くて広い隔たり”をどう埋めるかにある。トランプ大統領は依然として「制裁の維持」を強調しており、金委員長はすでに米国に「私たちと共有できる方法論」と「新たな計算法」を求めた(4月12日、最高人民会議での施政方針演説)。その上、朝米ともに「ハノイ・トラウマ」で、“失敗の恐れ”を完全に払拭できていない状況だ。「再び失敗しないためには、実務交渉が欠かせないが、それに先立ち、探索とムードづくりに向けた高空戦がさらに続くものと見られる」(北朝鮮情勢に詳しい消息筋)とか、「結局、内容を満たすためには、少なくとも米国高官が平壌を訪問するか、金委員長が特使を米国に派遣する方式で進めるしかないが、まだ時期を見極めるのは難しい」(元高官)という見通しが示されるのも、そのためだ。まだ道は遠いということだ。

 しかも、ハノイの会談後に立ち止まった朝鮮半島の平和の時計を再び回し始めた核心的な動力は、朝米中3国首脳の“高空戦”だ。文大統領は昨年と異なり、少なくともまだ“舞台の主役”ではない。「韓中協力の強化と南北関係の進展への努力が求められる」という声が、政府内外で高まっているのもそのためだ。

イ・ジェフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/898983.html韓国語原文入力:2019-06-23 21:08
訳H.J

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