北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が20日、平壌(ピョンヤン)を訪問した中国の習近平国家主席との首脳会談で「忍耐心を維持する」とし、米国と対話を通じて問題を解決していく意向を明らかにした。習近平主席は「北朝鮮の安保の懸念の解決に中国が積極的な役割を果たす」とし、朝鮮半島平和プロセスに積極的に介入する意思を表明した。
金委員長は午後4時頃から宿泊先の「錦繍山(クムスサン)迎賓館」で開かれた朝中首脳会談で、「過去1年間、朝鮮(北朝鮮)は情勢の緊張を緩和するために多くの措置を行ってきたが、関係国の積極的な支持を得られなかった」とし、遠まわしに米国への不満を示した。
金委員長はさらに「忍耐を維持し、関係国が朝鮮側と向き合って互いの関心事を解決し、成果をあげることを望む」と述べた。ハノイでの第2回朝米首脳会談後、朝米対話が膠着状態に陥った中、米国側の一定の態度変化など条件が整えば、非核化や体制保障関連交渉に乗り出せることを示唆したものと見られる。また、金委員長は「中国の経済発展・民生改善の経験に学ぶ」と強調し、経済建設に総力をあげて集中する路線を維持する考えを示唆した。
金委員長は「朝鮮は、中国が朝鮮半島問題を解決する過程で重要な役割を果たしてきたことを高く評価する。引き続き中国と疎通を図って協力し、新しい進展を収めると共に、朝鮮半島の平和と安定を維持していく」と述べ、中国との協力を強化することを示した。
これに対し習主席は「朝鮮半島問題の政治的解決を支持する。朝鮮半島の非核化の実現に中国が積極的な役割を果たす」と述べた。特に習主席は「北朝鮮の安保の懸念の解決に中国が力を添える」と強調した。非核化と交換する北朝鮮の「体制保証」と関連し、平和体制の論議などを通じて中国が仲裁者の役割を果たすという意味とみられる。
これに先立ち、習主席は専用機で北京を出発し、午前11時40分に平壌の順安(スナン)空港に到着した。空港には平壌市民約1万人が出て、花を振って習主席一行を歓迎した。金委員長夫妻は、国交正常化70周年を迎え平壌に来た習主席一行を空港で直接出迎え、最高の礼遇をした。中国最高指導者の北朝鮮訪問は、2005年10月の胡錦濤主席(当時)以来、14年ぶりのことだ。習主席の訪朝には丁薛祥・中国共産党中央弁公庁主任(習主席の秘書室長に相当)や楊潔チ・外交担当政治局員、王毅・外交担当国務委員兼外交部長など中国外交ラインの中心人物らが総出動した。特に、金委員長の4回の訪中の際には首脳会談に同席していない何立峰・国家発展改革委員会主任が同行したのが目を引く。中国の経済開発計画を立てる発展改革委の責任者が随行団に加わった点で、朝中経済協力案に対する論議も集中的に行われたものとみられる。