中国の習近平国家主席が今月20~21日の訪朝の意味を自ら明らかにした「中朝親善を継承して時代の新しい章を開こう」という題名の寄稿文が、「労働新聞」19日付1面に掲載された。訪朝を控えた中国最高指導者が「労働新聞」に投稿したのは、朝中関係70年史において初めてのことだ。
習主席が前例のない方式で明らかにした訪朝の意味は、国際社会に向けたメッセージと北朝鮮内部用のメッセージに分けられる。習主席は非核化問題を含む朝鮮半島の平和プロセスと関連し、「新たな局面を切り開いていく」と断固たる意志を明らかにした。また、「朝中親善」を強調し、ハノイでの朝米首脳会談で合意が見送られたにもかかわらず、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の対内外政策路線が“正当”という自身の評価を、「労働新聞」への寄稿文という前例のない形で明らかにすることで、“金正恩リーダーシップ”を積極的に支持し、金委員長の“決断”に必要なムードづくりに力を入れた。朝中関係に詳しい元高官は、「北朝鮮を安心させ、核問題の解決策において進展を図るともの」だとし、「全般的に肯定的なシグナルだ」と評価した。同高官は「金委員長に対する習主席の非常に高い水準の礼遇」だとし、「金委員長の統治に非常に大きな力になる」と付け加えた。
国際社会向けのメッセージと関連し、習主席は「中国側は朝鮮の同志らと共に手を携えて努力し、地域の恒久的な安定を実現するための遠大な計画を共に作成する用意があります」と明らかにした。「地域の恒久的安定」とは、金正恩国務委員長と文在寅(ムン・ジェイン)大統領が合意した「朝鮮半島の恒久的かつ強固な平和体制」(4・27板門店宣言)と事実上同じ意味だ。特に、習主席は「意思疎通と対話、調整と協力を強化し、地域の平和と安定のための新たな局面を切り開いていく」と強調した。もちろん「対話を通じて朝鮮側の合理的な関心事を解決することを支持する」と付け加え、北朝鮮側の意志とは関係なく中国が一方的に動くことはないという“約束”もした。中国専門家のイ・ヒオク成均館大学教授(中国研究所長)は、「『合理的な関心事』という表現は様々な解釈が可能だが、広義では体制保証の問題、狭義では制裁(緩和・解除)問題と思われる」と分析した。
また、習主席は「われわれは朝鮮側および該当側とともに意思疎通と調整を強化し、朝鮮半島問題と関連した対話と交渉に進展が見られるよう、共同で推進することで、地域の平和と安定、発展と繁栄のために積極的に貢献する」とし、韓国を含む北東アジア当事国と協力するという意思を表明した。
習主席は「労働新聞」への寄稿文で、「非核化」または「核」という言葉を一度も使わなかった。しかし、宋濤中国共産党対外連絡部長は17日、習主席の訪朝日程を公式発表し、「朝鮮半島非核化の方向を堅持しつつ、朝鮮半島問題の政治的解決プロセスが新たな進展を収めるよう努力したい」と述べた。
「北朝鮮内部用メッセージ」と関連し、習主席は「(朝中両国の)この友情は千万金にも代えられないもの」とし、「国際情勢がいかに変わろうと、朝中親善協力関係を強固に発展させることに対する中国党と政府の確固たる立場には変わらないし、また変えられません」と確約した。これは昨年6月、金委員長と3回目の首脳会談の際、習主席がした約束を再確認したものだ。習主席は原稿用紙13枚(題名を含め2056字、548単語)分量の寄稿文で、「親善」を16回も言及した。
特に習主席が「中朝関係は新たな歴史的出発点に立った」とし、「中朝関係の設計図をよく作成し、中朝関係の発展の舵をうまく取らなければならない」と強調した部分が目を引く。20~21日の首脳会談でどのようなやり方で具体化するかに注目する必要がある。これに先立ち、宋濤部長は「中朝関係は強固だ」とし、その根拠として「隣国」であり「政治的友誼が強い」という既存の評価基準に加え、「民間友誼」と「経済的相互補完性」を強調した。特に、「経済的相互補完性」は中国側が初めて表明した内容で、注目を要する。国家安保戦略研究院のヤン・ガビョン責任研究委員は「中国が改革開放をさらに深め、北朝鮮も経済建設にすべてをかけることにしたため、従来の血盟に基づいた中朝関係よりも、新しいパラダイムで両国関係を設定する必要があるという点を強調したものとみられる」と指摘した。