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[ニュース分析]朝米、4項目の合意履行めぐり駆け引き…カギは非核化の接点探し

登録:2018-07-13 07:57 修正:2018-07-13 10:10
[朝米首脳会談から1カ月]共同声明4項目の進展遅れる
北朝鮮の金正恩国務委員長と米国のドナルド・トランプ大統領が6月12日(現地時間)、シンガポールのカペラホテルで会って握手した後、写真撮影のために取材陣の前に立っている=ケビン・リンム/ザ・ストレーツタイムズ提供//ハンギョレ新聞社

 シンガポールでドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が史上初の朝米首脳会談という“大市”を開いてから、今月12日で1カ月を迎えた。今月6~7日、マイク・ポンペオ国務長官の3度目の訪朝を機に、朝米が互いにやり取りする品物をめぐって本格的な値段の交渉に入り、交渉初期の典型的な現象である“駆け引き”が激しくなっている。

1.朝鮮半島の完全な非核化 
北朝鮮「未来の核」、米国「すべての核」議題めぐり対立  
核廃棄のおおまかなタイムテーブルには合意できず 
 
2.朝鮮半島における平和体制の構築 
韓米合同軍事演習の中止…北朝鮮、満足できず  
終戦宣言めぐっても北朝鮮「米国が先延ばしにしている」 
 
3.米軍の遺骨送還 
当初の予想とは異なり送還日程遅れる 
 
4.新たな朝米関係の樹立 
連絡事務所の設置など第一歩踏み出せず

 1カ月が過ぎた時点から見ると、朝米が共同声明を通じて合意した新たな朝米関係の樹立▽朝鮮半島における平和体制の構築▽朝鮮半島の完全な非核化▽米軍の遺骨送還など4項目の進行スピードは、盛り上がっていた当時の熱気に比べて遅い方だ。

 第一に、中心的な合意事項である完全な非核化と関連し、北朝鮮は「未来の核」だけを議題にしたい構えだ。首脳会談の直前に豊渓里(プンゲリ)核実験場を爆破したのに続き、大陸間弾道ミサイル(ICBM)エンジン実験場の廃棄を約束したことが「未来の核・ミサイル能力」に該当する。エンジン実験場の廃棄は、ポンペオ長官の3度目の訪朝の際、実務会談を開くことで調整が行われた。

 ポンペオ長官は3度目の訪朝の際、既存の核兵器(過去の核開発)と現在のすべての核・ミサイル施設(現在の核)申告・検証問題を集中的に提起した模様だ。北朝鮮はこれに対し「一方的で強盗のような要求」(7日、外務省報道官談話)だという立場を示した。米国は当初の目標だった“おおまかな非核化のタイムテーブル”を導き出せなかった。

 「未来の核」に重点を置く北朝鮮と、過去・現在・未来のすべての核の廃棄を目指す米国の激しい“議題設定”をめぐる争いは、膠着状態を突破できる「ビッグディール」がなければ簡単には終わらないものとみられる。米国が提供する見返りの内容がはっきりしていない状態で、北朝鮮がすなおにに“命綱”を差し出すとは思えないからだ。

 第二に、「朝鮮半島における恒久的平和体制の構築」は、北朝鮮が決断すべき非核化に対する米国の見返りの性格を帯びている。米国は首脳会談直後、「信頼構築のため」、韓米合同軍事演習の中止を先制的に発表した。北朝鮮はこれを「可逆的処置」と呼び、自分たちが首脳会談の前に断行した「不可逆的な」豊渓里核実験場の爆破より価格が低いと主張する。米国がおまけを付けない限り、値段が釣り合わないという論理だ。しかし、米国は同盟の根幹を揺るがしかねない重大な処置を講じたため、北朝鮮も非核化措置を追加で行うべきと対立している。

 平和体制の構築過程における象徴的な初期行事と言える終戦宣言をめぐっても、立場が分かれている。北朝鮮は米国がこれを合意しておきながらも先延ばしにしていると主張する。米国は終戦宣言が国連司令部の存続や在韓米軍の撤退問題を触発する可能性があるとし、まだ時期尚早と見る雰囲気だ。また、安値で終戦宣言を売るわけにはいかないとして、北朝鮮の追加措置を期待している。

今月7日、平壌で開かれた朝米高官級会談の写真=ポンペオ長官のツイッターからキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 第三に、米軍の遺骨送還は、当初12日に板門店で実務協議が開かれるものと予想されたが、実現しなかった。トランプ大統領は送還が迫っていると述べてきたが、意外となかなか解決していない。トランプ大統領の関心が大きく、米国の世論が敏感に反応する事案であるため、この問題がこじれると影響が大きい。

 最後に、「新しい関係の設定」は第一歩を踏み出せずにいる。連絡事務所の設置などは取り上げられず、テコンドー演武団など初歩的交流も合意に至っていないものとみられる。

 にもかかわらず、これまでの局面をリードしてきた“唯一”の動力であるトランプ大統領と金委員長は揺らいでいないものとみられる。北朝鮮は7日、外務省報道官談話で「我々はトランプ大統領に対する信頼をまだ持っている」と明らかにした。トランプ大統領も9日「私は、金正恩が我々が署名した契約、さらに重要な意味を持つ我々が交わした握手を尊重すると確信する」と述べた。彼は12日、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議後の記者会見でも「金正恩ととても良い関係を形成した」と述べた。

 専門家たちは、韓国の役目がさらに重要になったと指摘する。キム・ジュンヒョン韓東大学教授は「韓国がトランプ大統領を説得して終戦宣言を引き出し、これを機に北朝鮮が(非核化の)初期措置を取る方向に進まなければならない」と話した。チョ・ソンニョル国家安保戦略研究院首席研究委員は「韓国政府が南北関係だけでなく、非核化、体制保証について積極的な立場を持って調整役を果たすべきだ」と話した。

ワシントン/イ・ヨンイン特派員、ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/853049.html韓国語原文入力:2018-07-13 01:31
訳H.J

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