ドナルド・トランプ米大統領が、シンガポール朝米首脳会談で北朝鮮が約束した朝鮮戦争の時に死亡した米軍兵士の遺骨送還と関連して「既に200体の返還を受けた」と明らかにした。12日のシンガポール朝米首脳会談での合意事項が初めて履行されるため関心が集まっている。
トランプ大統領は20日(現地時間)、米中西部のミネソタ州ダルース遊説現場で「私たちは偉大な戦死者英雄の遺骨の返還を受けた。すでに今日200体の遺骨が送還された」と明らかにした。トランプ大統領のこの発言は、北朝鮮で遺骨送還の手続きが始まったことを意味すると見られる。CNNも実際に遺骨が送還されたかはまだ確認されていないと伝えた。
これに先立ち、ウォールストリートジャーナルは20日午後、米当局者の言葉を引用して「一両日内に」北朝鮮が「朝鮮戦争の時に死亡したり失踪した米軍の遺骨250体を韓国内の米軍基地である烏山(オサン)基地に送るだろう」と報道した。米国政府はこの遺骨の返還を受けた後、烏山空軍基地でビンセント・ブルックス在韓米軍司令官の主宰で追悼行事を開く。その後、ハワイのヒッカム基地に遺骨を送り、精密な身元確認を行う予定だ。新聞が米東部時間で20日午後7時頃にこの記事を送りだした点から考えると、実際の返還は「早ければ21日、遅くとも23日まで」になされると見られる。新聞が駐機場(tarmac)で追悼行事を進めると明らかにしたことから見て、遺骨は陸路ではなく米国の輸送機を通じて北朝鮮から烏山基地に直接移送されると見られる。
これに先立ち、朝米は6・12シンガポール首脳会談の共同文書で「戦争捕虜および行方不明者などの遺骨発掘を進め、既に発掘された遺骨は直ちに送還」することに合意した。この遺骨送還が確認されれば、朝米首脳会談から10日たって初めて後続措置が実行されることになる。トランプ大統領は首脳会談後の記者会見で、米軍遺骨送還が会談の「最後にあった要求事項だった」として「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長がこれにその場で快く同意した」と明らかにした。
朝鮮戦争の時に失踪した米軍は約7700人で、このうち5300人が北朝鮮地域で死亡したと推定される。米国と北朝鮮は1996年から2005年まで北朝鮮にある米軍遺骨発掘のために33回の共同調査を実施し、229体の遺骨を送還した。だが、その後、北朝鮮の核およびミサイル開発問題をめぐり両国が対立し、それ以上の遺骸発掘と送還はなされなかった。
一方、シンガポール朝米首脳会談で北朝鮮が廃棄すると明らかにしたミサイルエンジン試験場は、平安北道鉄山郡東倉里(トンチャンリ)にある西海(ソヘ)衛星発射場だと、CBSが20日、行政府官僚の言葉を引用して報道した。トランプ大統領は、会談後の記者会見で「北朝鮮がミサイルエンジン試験場を廃棄すると約束した」という事実を明らかにしたが、対象は特定しなかった。
北朝鮮は、西海衛星発射場を長距離弾道ミサイルに装着する液体燃料推進エンジンの性能をテストするために使ってきた。専門家らはここで米国の首都ワシントンを打撃する能力を立証した火星-15型大陸間弾道ミサイル(ICBM)が開発されたと見ている。国務省の北朝鮮諮問官だったボブ・カーリンは「この施設は北朝鮮の最大のミサイル発射試験場の一つ。北朝鮮がこの施設を廃棄することは意味がある」とCBSに話した。
米行政府のある高官は「私たちは交渉を進展させて、この場所を綿密に観察し続けるだろう」と話した。この発言に照らしてみる時、北朝鮮はまだこの施設の本格的な廃棄は始めていないと見られる。