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在シンガポール北朝鮮大使館3日連続で沈黙、「北朝鮮とASEANの関係」行方も注目

登録:2018-05-15 05:55 修正:2018-05-15 07:24
核実験・制裁で、ASEANとの伝統的な関係も疎遠に 
「朝米関係に突破口開けば、経済・貿易・支援の強化も可能」 
ベトナム式の開放など「東南アジア発展モデル」参考する余地も大きい 
現地の北朝鮮大使館、大使館邸は「沈黙」貫く
在シンガポール北朝鮮大使館の関係者が今月14日午前、韓国取材陣に「帰ってほしい」と要求している。同関係者は、朝米首脳会談などに対する質問には答えなかった=シンガポール/キム・ウェヒョン特派員//ハンギョレ新聞社

 シンガポールの北朝鮮外交官たちは14日、殺到するマスコミの取材要請にも沈黙を貫いた。シンガポール中心街のノースブリッジロードに位置した北朝鮮大使館はこの日正常な業務を行ったが、ハンギョレなど世界各地から集まったマスコミの粘り強い取材要請には一切応じなかった。北朝鮮大使館関係者は、朝米首脳会談の準備状況などを尋ねる質問に返答を拒否し、「電話や電子メールで申し込んで(こちらが)同意したら、その時に来てもらいたい。同意のない取材には応じない」と話した。ハンギョレは12日に在シンガポール北朝鮮大使館に取材を要請する電子メールを送ったが、14日午後まで返信はなかった。

 北朝鮮大使館の職員らが居住する大使館邸も状況も同じだった。13日、大使館邸を訪問して呼び鈴を押して取材を試みたが、誰も答えなかった。3階建ての1・2階には明かりがついていたが、カーテンが閉まっており、中の様子を窺うことができなかった。門内の庭園には黒い乗用車が2台駐車されていたが、人の気配を確認できなかった。シンガポール外務省のホームページによると、北朝鮮大使館には4人が勤務している。北朝鮮大使館は、週末だった12~13日には休館した。

 “当事者”の北朝鮮外交官らは非常に慎重な態度を示しているが、史上初の朝米首脳会談の場所に選ばれたこの国の東アジア専門家らは、会談の結果が今後の北朝鮮の対外関係とシンガポールを含む東アジア情勢に及ぼす影響について活発な議論を行っている。彼らが最も関心を寄せるのは、東南アジア、特にASEAN(東南アジア諸国連合)と北朝鮮の関係を再設定する問題だ。

 北朝鮮はこれまで、ASEANと友好的関係を維持してきた。ベトナムやカンボジア、ラオスなどの社会主義国家とは伝統的な友好関係を続けており、インドネシアなど「非同盟」国とも好意的関係を維持してきた。ASEAN加盟国(10カ国)はいずれも北朝鮮と国交を結んでおり、このうち8カ国には北朝鮮大使館がある。また、ASEAN5カ国が平壌に大使館を置いている。北朝鮮は2000年からASEANが主催するASEAN地域フォーラム(ARF)に外相または副相を派遣してきた。

 しかし、この数年間、北朝鮮が核・ミサイル開発を続けたことで、ASEANとの関係も疎遠になった。朝米会談が成功し、北朝鮮の外交が正常化すれば、ASEANとの関係回復も視野に入ってくる。ナンヤン工科大学のショーン・ホ研究員は14日に行ったハンギョレとのインタビューで、「朝米関係に突破口が開けば、東南アジア諸国が北朝鮮と再び手を握り、経済・貿易・開発援助などの分野で関係を強化できるだろう」と見通した。

 また、もう一つの関心事は、北朝鮮が改革・開放を追求する過程で東南アジア発展モデルに従うかどうかだ。同大学のリ・ミンジャン研究員は「東南アジア諸国はほとんどが輸出中心の経済構造を追求しており、北朝鮮が経済モデルを作っていく上で重要なお手本になるだろう」と話した。ASEANは所得が高いシンガポールから開発途上国のラオスやカンボジアまで発展段階の異なる複数の国が集まっており、北朝鮮が参考にできる先例が多い。リ研究員は「北朝鮮が改革・開放を行おうとしても、党の強力な影響力を維持する可能性が高い。これは、ベトナムとかなり類似したモデルであり、軍が政権を獲得したもののアウン・サン・スー・チーに権力を移譲したミャンマーなど、他の東南アジア諸国の事例にも参考にできるところが多い」と指摘した。

シンガポール/キム・ウェヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/asiapacific/844563.html韓国語原文入力:2018-05-14 21:28
訳H.J

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