ドナルド・トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長と首脳会談を行う決定を下す過程は、破格の連続だった。ニューヨークタイムズやウォールストリートジャーナルなど米マスコミは、韓国の特使団がホワイトハウスを訪問してトランプ大統領が首脳会談の決定を下すまでの45分間は、歴史を変えられる瞬間だったと報じた。
チョン・ウィヨン安保室長を団長とする韓国の特使団が8日(現地時間)、米国に到着する前、米国側は情報系統を通じて金正恩委員長がトランプ大統領を招請した事実を知っていた。トランプ大統領はアフリカを歴訪中だったレックス・ティラーソン国務長官と電話で協議した。しかし、トランプ大統領はティラーソン長官にその招請に応じるとは伝えなった。
予告なしに執務室に呼ばれたチョン室長は「トランプ大統領と直接会って話をすると大きな成果を出せるだろう」という金正恩委員長のメッセージをトランプ大統領に伝えた。韓国側の説明を聞いていたトランプ大統領は「分かった、分かった。北朝鮮の彼(金正恩委員長)に『イエス』と伝えてください」話した。驚いたチョン・ウィヨン室長やソ・フン国家情報院長、(チョ・ユンジェ)駐米大使はトランプ大統領の言葉が信じられないかのように、互いに顔を見合わせた。
(トランプ大統領の発言は)同席した米国官吏たちにとっても衝撃だった。マティス国防長官とマクマスター安保補佐官は慎重になるべきだと話した。しかし、トランプ大統領は「(金委員長と会談を)やります、やります」と一蹴した。
トランプ大統領はこの決定を韓国の特使団がホワイトハウスから直接発表するように指示した。韓国の特使団が会談の実現を発表することで、この事案が途中で流出したり歪曲されないようにするためのトランプ大統領の決定だったと、ウォールストリートジャーナル紙は報道した。驚いたチョン室長はマクマスター安保補佐官の事務室に駆け付け、米国高官と共に発表文を整えた。ホワイトハウスの参謀らは、外国官吏がホワイトハウスの演壇で発表を行うことに難色を示し、代わりにホワイトハウスの進入路を発表の場として提案した。
チョン室長が発表のため進入路に歩いていったその時、トランプ大統領は急いで日本の安倍晋三首相に電話をかけた。米議会の指導者らや国防部と国務省の高官たちは、チョン室長の発表を聞いてから、ようやく何が起きたのかを知った。