先週、南北と韓米の連続接触で、4月に南北首脳会談が板門店(パンムンジョム)で開かれるのに続いて、5月に朝米首脳会談が史上初めて開かれることになった。異例の驚くべきことが一度に起き、朝鮮半島情勢は大転換に向かって揺れ動いている。二大首脳会談の進展によっては非核化の議題を越えて朝鮮半島の平和体制構築まで議論が進む可能性もなくはない。しかし、朝米首脳会談が現実になるまでは様々な危険要素のある道を経なければならない。韓国政府は隠れている危険要素が万が一でも大事を誤らせないよう、慎重に慎重を重ねて管理しなければならない。
大きな成果を手に米国から帰ってきた特使団は、12日から中国、日本、ロシアを訪問して会談結果を説明する。中国と日本は表向きは朝米合意を歓迎しているものの内心は、複雑に見える。過去に北の核問題解決のための6カ国協議議長国だった中国では電光石火のような事態の進展に影響力を失うことを憂慮する声が出てきている。日本は朝米間の重大合意過程から排除されるのではないかという心配が大きい。政府は両国がこの局面で疎外感を感じないよう、合意内容を詳細に説明して状況進展に友軍として参加できるよう協力と支持を求めるよう努めなければならない。
今回の朝米首脳会談合意は最高指導者の間であまりにも突然に決定されたので、過去のような長々しい探索と調整の過程が省略された。6カ国協議のような周辺国の連帯保証という安全装置が動員される状況も作られなかった。しかし、朝米首脳会談が実際に開かれるといっても、その後非核化措置を履行し、さらに朝鮮半島平和体制問題まで扱っていくには、この国たちの支持と保証は必須といえるだろう。そうした点で韓国政府は目の前の朝米首脳会談の成功条件を作る水準を越え、首脳会談以後まで考慮する視野で中日ロが朝鮮半島の平和の支援軍になることができるよう、管理を徹底しなければならない。
米国の行政府などから出ている「電撃的な朝米合意」に対する否定的な声もしっかり見極める必要がある。トランプ大統領は「前任者が30年間できなかったことをやり遂げた」として、朝米会談が「最も重大な妥結を見るかも知れない」と雰囲気をあおっている。その一方で行政府と議会、報道機関は「厳しい賭博」に出たトランプ大統領が果たして成功できるかと疑う主張が続いている。トランプ大統領個人の性格から見ると、対外的な成果で悪材料を振り払わなければならない政治的な事情と見えるが、トランプ大統領がこのような憂慮をはね除けて首脳会談に進む可能性は大きい。しかし、北朝鮮を信じることができないという声が高まれば会談の展望が悪くなることもある。一部の官僚は、会談が実際に開かれる可能性を50%未満と見ているという報道もある。状況は甘くない。
韓国政府は朝米首脳会談の重要性を訴え、米国内部の懐疑的な見解をなだめる必要がある。ちょうど今週、カン・ギョンファ外交長官が米国を訪問してティラーソン国務長官に会う。ティラーソン国務長官は米国政府の中で交渉術にたける代表だ。彼らが力を得て自ら障害物を除去することが最も理想的な形である。韓国政府はすべてのチャネルを使って朝米対話に伴う問題を最小化するのに全力を尽くさなければならない。