日本の韓国研究の権威者である小此木政夫慶應大学名誉教授(72)は、南北首脳会談開催の合意と「非核化」に向けた北朝鮮の意志表明以降、ひとまず米朝対話が進展すれば、日本も対話ムードを受け入れざるを得ないだろうと話した。7日に行われたハンギョレとの電話インタビューで、彼は日本人拉致被害者問題が日朝対話に影響を与える可能性もあるという見解を示した。
-核とミサイル発射実験を続けてきた北朝鮮が積極的に対話に乗り出した理由とは?
「北朝鮮が『瀬戸際戦術』を展開しながら、核武力の完成を宣言したから、今年からは対話に乗り出すのが当初の計画だった。その一方で、昨年秋からの経済制裁の圧力効果もあったと思う」
-今後予想される日本政府の動きは?
「引き続き北朝鮮に最大の圧力を加えるべきというのが、日本の基本政策だ。しかし、日本の影響力には限界がある。ドナルド・トランプ米政権が朝米対話を受け入れる形になれば、日本も対話ムードを受け入れざるを得ない。現在、日本は北朝鮮と米国の動きを見守るしかなく、米国と韓国に対話に慎重を期すべきだと訴え続けるだろう。ところが、日本には拉致問題がある。もし北朝鮮が拉致問題解決を含む日朝国交正常化を提案すれば、日本としては断り難いだろう。日本も拉致被害者問題を解決しなければならないからだ」
-日本が北朝鮮との対話を受け入れられる最低限の線はあるだろうか?
「日本政府は、米国が自国(の利益)だけを考えるのではないかと警戒している。すなわち、米国が北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)と中距離弾道ミサイル(IRBM)だけをを取り上げれば、日本は北朝鮮と独自交渉に乗り出さなければならない。日本は、朝米交渉で北朝鮮のミサイル射程距離を朝鮮半島の東南側に制限すべきだと見ている。もし日本の思い通りにならない場合、日本の立場は弱くなる。トランプ政権はもはや朝米対話に応じるしかないだろう。応じなければ、南北を共に敵に回すかもしれない。北朝鮮はこれまで、文在寅(ムン・ジェイン)政権との緊密な関係(構築)に務めてきたが、これからはトランプ政権の関心を買うため、全力を尽くすだろう」