ユネスコ(UNESCO)世界記憶遺産の登録審査を行う国際諮問委員会議長が、韓中日の市民団体が申請した日本軍慰安婦資料の登録に対する審査延期をユネスコのイリナ・ボコバ事務局長に求めたと、日本の産経新聞が20日付で報じた。日本のロビーにより慰安婦記録の登録の見通しが不透明になっているものとみられる。
アラブ首長国連邦出身のアブドラ・アルライシ国際諮問委議長は同紙とのインタビューで、「現制度のまま登録審査を行えば、ユネスコが激しい対立の場になる」として、自ら審査延期を要請したと明らかにした。彼は、慰安婦資料やイスラエルが反発しているパレスチナ紛争のポスター集など、関係国の間に意見の相違がある案件8件に対する審査を、来年まで延期すること要求したと明らかにした。また、申請者と関係国の対話を要請するなどの対策を取ることも求めたと話した。
世界記録遺産の登録は、国際諮問委の勧告を受けてユネスコ事務局長が決定する。アルライシ議長はボコバ事務総長がまだ明確な答えを示していないと述べた。予定通りなら、慰安婦資料は24~27日に国際諮問委で審査を受け、審査が円滑に進めば、年内に登録される可能性もあると見られていた。
日本は2015年、日本軍の中国南京大虐殺関連資料が世界記憶遺産に登録されたことに対し、当事国が反論する機会がなく、世界記憶遺産が政治的に利用されているとして強く反発した。日本は昨年、韓中日の市民団体が慰安婦資料を登録申請した際、分担金をの拠出を先送りしながらユネスコを圧迫した。ユネスコの予算負担率は、米国(22%)が最も多く、日本(9.6%)がその後を続いているが、米国が2011年、パレスチナがユネスコに加盟したという理由に分担金の拠出を拒否しており、現在は日本が最大分担国だ。しかも最近、米国が「半イスラエル」傾向を理由にユネスコからの脱退を宣言したことで、日本の圧迫はユネスコにはさらに大きな負担となっている。
ユネスコ執行委員会は今月18日、日本の主張を受け入れ、世界記録遺産制度の変更案を採択した。主な内容は、事実関係や歴史認識の問題で関係国の間で意見の相違がある場合、関係国の意見聴取の手続きを踏まなければならないということだ。具体的な案は来年最終決定され、それ以降の申請から適用される予定だ。
慰安婦資料の登録申請は昨年行われたため、形式上は変わった制度の適用対象ではない。しかし、日本の影響力がますます強くなる状況で、制度まで変更されれば、登録の機会はさらに狭くなる見通しだ。