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[インタビュー]「言葉の戦争・武力誇示、北朝鮮の交渉復帰を困難にし誤断の恐れも」

登録:2017-10-10 04:09 修正:2017-10-11 07:52
「対北朝鮮交渉派」マンスフィールド財団のフランク・ジャヌージ代表 

「トランプ政権は支離滅裂、同盟にさらに大きな混乱招くだろう」 
「米朝衝突の回避を望む…言葉の戦争自体が衝突をもたらすわけではない」 
「北朝鮮核問題の解決に向けた外交的努力、実質的に始めたことはない」 
「軍事演習の縮小はいい考えだが相互的かつ透明であるべき」 
 
「北朝鮮核問題の解決は満塁ホームランではなく『スモール・ベースボール』を 
完全な非核化は早く到達できないこと認め忍耐すべき」

マンスフィールド財団のフランク・ジャヌージ代表=イ・ヨンイン特派員//ハンギョレ新聞社

 ドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の「言葉の戦争」や米朝間の軍事的緊張、トランプ政権の内紛と混乱などが重なり、朝鮮半島情勢が予測できない事態に突き進んでいる。米ワシントンで代表的な東アジア専門家であり、対北朝鮮交渉派として知られるマンスフィールド財団のフランク・ジャヌージ代表は最近、ハンギョレとのインタビューで、一連の言葉の戦争と米国の武力誇示などが、北朝鮮を「交渉のテーブルに復帰するのをさらに難しく」しており、「判断を誤るリスク」を引き起こしかねないと懸念した。インタビューは先月26日(現地時間)、マンスフィールド財団の事務室で1時間30分に渡り進められ、今月7日に電子メールを通じて追加質問と回答が行われた。

トランプ政権内部の混乱は計算されたものではない

 -レックス・ティラーソン国務長官が、公の場でトランプ大統領を「馬鹿」呼ばわりしたという報道が今月4日に流れ、波紋が広がった。トランプ政権内部の相次ぐ亀裂を調整された役割分担と見るべきなのか、それとも政府内部の混乱を反映するものとみるべきなのか。

 「トランプ政権内部の内紛は米国のテコの力を最大化するために計算された『良い警察、悪い警察』流の役割分担ではない。互いに違う方向に向けて動いている行政府の機能喪失や混乱、分裂を示しているだけだ。彼らは凝集力と忠誠心の崩壊に悩まされている。遅くとも来年の春先に、米連邦捜査局(FBI)や特別検察官がトランプ政権の前・現職の官僚たちを起訴すると予想されるが、そうなれば、状況はより一層悪化するだろう。このような支離滅裂は、米国の同盟国にはさらに大きな混乱をもたらすだろう。また、トランプ政権を自分たちの野望のための贈り物と見なしているロシアと中国、北朝鮮は喜ぶだろう」

 -トランプ大統領が先月、国連総会での基調演説で「北朝鮮の完全破壊」に言及したことに対し、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長など北朝鮮が強く反発し、「言葉の戦争」が朝鮮半島の緊張を高めてきた。

 「トランプ大統領の炎のような言葉は、支持層にはかなり人気がある。しかし、一般的な米国人にはあまり歓迎されていない。最近ワシントン・ポスト紙や世論調査機関ピュー・サーチの調査の結果によると、米国人の80%以上が朝鮮半島問題に対する外交的アプローチを望んでいる。

 『言葉の戦争』そのものが衝突をもたらすことはないだろう。両方とも衝突は避けたいと思っている。しかし、レトリックが過熱する際の問題点は、個人的に侮辱された金正恩委員長が引き下がるのを難しくするということだ。トランプ大統領が(金委員長の)体面を立てなければ、金正恩委員長が交渉のテーブルに復帰するのがさらに難しくなる。

 トランプ大統領は言葉を慎むべきだ。自制力を示すのは、さらに強い国家の義務である。米国には金委員長に若干の尊重を示すほどの余力がある。多くの費用がかかるわけでもない」

 -トランプ大統領の参謀たちですらトランプ大統領にブレーキをかけられずにいる。

 「正しい意見だ。参謀たちが国連総会での演説(の強いレトリック)を自制させようとしたが、トランプ大統領は炎のような言葉を選んだ。しかし、トランプ大統領も結局は参謀たちの助言に耳を傾けるだろう。願わくば、トランプ大統領は、他のテーマに(関心を)移していき、それが多分、北朝鮮に若干の休止期を与えるだろう。そうなれば、時間の経過と共に、状況が沈静化する機会を持つこともできるだろう。数週間後に状況がより安定すれば、外交のための機会も生まれるだろう」

 -外交のための機会が生まれると見る根拠があるとすれば?

 「内部情報はない。しかし、ハーバート・マクマスター国家安保補佐官も最近、(先月25日「米国戦争研究所」主管の行事で)北朝鮮の核兵器やミサイル計画を除去できる精密打撃の軍事オプションはないと述べた。また、マクマスター補佐官は、米国が対話を望んでいることを明確にしており、北朝鮮が対話のための機会をつかむことを希望すると発言した。したがって、トランプ大統領の熱い『言葉の戦争』にもかかわらず、米国の全般的な対北政策は『最大の圧迫と関与』を維持しており、トランプ政権は依然として関与の機会を求めていると思う」

米国の武力誇示は北朝鮮を引き下がり難くする

 -しかし、他方では米国の武力誇示が行われた。米国防総省は先月中旬、北方限界線を越えB-1BランサーとF-15Cを送っており、また他の一連の武力誇示を準備しているという。

 「米軍の展開は3つの異なる聴衆に対するメッセージだ。最初の聴衆は韓国で、米国は韓国の信頼に値する同盟であり、いかなる脅威にも朝鮮半島を守るという決議を韓国国民に示し、安心させることだ。二番目の聴衆は中国だ。米国が軍事オプションを保有しているという事実を中国に知らせようとするものだ。それは良いオプションではないが、中国が追加的な緊張高揚を避けたいなら、すべての力を尽くして、北朝鮮が交渉のテーブルに復帰させるべきというメッセージだ。三番目の聴衆は北朝鮮だが、北朝鮮を相手にした軍事的動きはあまり(問題の解決に)役に立たないと思う。米国がこのような種類の動きを見せるたびに、北朝鮮の立場からすると、ほとんど必ず軍事的に対応せざるを得なくなる。したがって、武力誇示は『言葉の戦争』同様、北朝鮮が引き下がることをさらに難しくする」

 -米国は今年4月にカールビンソン空母を送っており、また、レーガン号を送って武力誇示を行うという。このような動きが繰り返されており、危険に見える。

 「米国は、空母戦団を頻繁に攻撃的な空襲基盤として使用してきた。リビア、シリア、イラクの時もそうだった。したがってこのような動きは北朝鮮に極度の懸念を植えつけるだろう。米国が空襲を加えられるほどの相当な武力を配置したと北朝鮮が考えるようになれば、判断を誤る危険性が高まる。したがって、米国は誤ったメッセージを送らないように韓国と協力して注意を傾けている」

 -トランプの政府関係者たちは「すべてのオプションがテーブルの上にある」としてから、「最大の圧迫」が作動し始めたという。

 「『すべてのオプションがテーブルの上にある』と言う際、実質的に意味するのは、力の要素をオプションに追加したということだ。このような力は、制裁の形を帯びる可能性もあり、軍事行動の形を帯びるかもしれない。問題は外交的オプションが依然としてテーブルの上にあるのか、それとも強圧的なオプション(制裁や圧力をかける)だけが残っているのかということだ。私は、依然として外交的オプションがテーブルの上にあると思っている。しかし、問題は外交的オプションが手に届かないほど遠く離れているということだ。

 外交的オプションをもっと身近に引き寄せるため、米国と韓国は障害物を除去する必要がある。最も重要な障害物は、対話をするためには北朝鮮が事前に具体的な処置を取るべきだと、米国が要求していることだ。北朝鮮はいかなる前提条件もつけず、議論したいと思っている。したがって、米国が対話に先立ち、北朝鮮に具体的な譲歩を期待したり要求するのが、我々に本当に役立つのかを慎重に考慮する必要がある。私はそのような要求が非現実的だと考えている。

 もう一つの問題は、米政府が対北朝鮮制裁で充分な圧力を加えれば、北朝鮮が対話の再開や制裁解除の期待を抱いて具体的な処置を取るだろうと考えたり、少なくともそうなることを望んでいるという点だ。しかし、実際、我々の制裁は北朝鮮経済に決定的な影響を与えていない。私が知る限りでは、北朝鮮経済は萎縮されず、依然として成長を続けている。

 北朝鮮経済の成長は概して市長の改革に伴う国内生産と消費の増加によるものだ。利用できる良いデータが多くなく、『強力なエンジン』とまで言えないかもしれないが、国内の経済成長に向けたエンジンは作動しているものとみられる。北朝鮮経済は3~5%のスピードで成長しているが、制裁が強い効力を発揮しても、4%の成長を1%の成長程度に抑えられるだけだろう。したがって、制裁では十分ではない。私たちには対話と関与が必要である。そうでなければ、北朝鮮が自ら行動を変える可能性はほとんどない」

 -トランプ行政部がどれだけ真剣に先制打撃や予防戦争のような対北朝鮮軍事行動を考慮していると見るか?

 「正直に言うと、私にもよく分からない。米国はいつも利用可能な軍事オプションメニューは持っている。小さくはミサイルを撃墜するものから、もっと大きなオプションとしては北朝鮮指導部や軍作戦および統制所の破壊を試みる可能性がもある。しかし、これらのうちどれも良いオプションとは言えない。(北朝鮮の)報復を招く恐れがあり、緊張を高めたり、中国を孤立させて、国際的支持を失うリスクなど、多くの対償を伴う。

 私はいかなる軍事オプションも必要ではないと思っている。すべての代案を使い果たせば、戦争に進む道しかないだろう。ところが、私たちは外交を通じて達成できるものは何かについて、実質的に実験を始めたことさえない。

 もちろん、外交が私たちに直ちに完全な非核化を達成できる簡単な方法や良い方法を提供してくれるとは思わない。しかし、それは、軍事オプションも同じだ。軍事オプションがいい解決策ではないにもかかわらず、片手には外交で得られる利益を最小限にとどめておいて、他の手には完全な非核化を持って互いに比較するのは公正ではない」

 -私的な場で、北朝鮮への関与を通じて争いの場を変えられると話したことがある。

 「私たちは関与を通じて、何を達成できるかを真剣に検討すべきだ。北朝鮮の核分裂物質の生産を中断させることができるだろうか? 実験を中断させることができるだろうか? 拡散の危険を減らすことができるだろうか?

 しかし、何よりも私が最も重要に思っていることは(関与を通じて)争いの場を変えられるかどうかということだ。今、私たちは北朝鮮が選んだ争いの場で戦いを繰り広げている。北朝鮮がミサイル試験を行えば、それに対抗して米国の爆撃機が出撃し、また宣伝戦とそれに対応をするというような争いの場だ。これは北朝鮮に有利な争いの場だ。

 私ならいっそ他の争いの場で北朝鮮と戦うだろう。経済の力、情報の力、文化の力、サイバーの力、アイデアの力、さらに愛情や親切さの力、人道主義的な力をめぐって北朝鮮と競争するのだ。私たちはすでにこのような分野で多くの力と知的力量、多くのソフトパワーとスマートパワーを保有している。今は、北朝鮮が選択した争いの場で戦っているため、そのようなものを使えないのだ」

マンスフィールド財団のフランク・ジャヌージ代表=イ・ヨンイン特派員//ハンギョレ新聞社

完全な非核化には時間が必要だという事実を受け入れるべき

 -北朝鮮は核保有国家にますます近づいている。このような現実と非核化目標の間の隔たりはいかに埋められると見るか?

 「非核化という目的地に到達するまでは、相当な時間がかかるという現実を受け入れなければならない。北朝鮮の核能力を凍結し、このような状況と共存するのはいい考えではない。最初の段階は核分裂物質の生産やミサイル実験などの中断になるだろうが、それからまもなく米国と韓国は中国などと協力し、北朝鮮が核プログラムを解体する段階別の過程を始めるように説得する必要がある。

 そのためには忍耐しなければならず、完全な非核化に早期には到達できないという事実を受け入れるべきだ。例えば、北朝鮮が核兵器用核分裂物質のために高濃縮ウランを作っているのなら、その生産を止めて、セーフガード(安全措置)のもとで原子力発電に向けた輸出用低濃縮ウランを作るように認めることも考えられる。北朝鮮が核不拡散禁止条約(NPT)を違反した点を考慮すると、法的に可能かどうかは分からないが、おそらく弁護士らが賢明な解決策を見つけられるだろう」

 -非核化の目標を長期戦略として設定すれば、北朝鮮と段階別交渉を妥結しても、韓国と米国では大統領が5年や4年ごとに変わり、合意が維持されるどうかが問題として残るだろう。

 「特定の政権を越えてプログラムを持続することはいつも問題となってきた。我々はイランとの核合意と関連し、そのような姿を見ている。皆が同意するように、イランが合意を順守しているにもかかわらず、トランプ大統領がそれを廃棄すれば、大変な過ちになるだろう。そのような行為が、北朝鮮に送るメッセージはいかなる合意も信頼できないということだろう。次期大統領が合意を廃棄することができるからだ」

 -また、交渉反対論者たちは北朝鮮が協定をよく破るために信頼できないという。

 「私の経験からすると、北朝鮮は合意文そのものはかなりよく守ってきた。ジュネーブ合意の場合、時間が経ってから、北朝鮮がウラン濃縮実験を開始したのは明らかだ。しかし、ジュネーブ合意そのものにはウラン濃縮を特定して禁止する条項がなく、プルトニウムや軽水炉に関する内容である。ただし、ジュネーブ合意で言及された朝鮮半島非核化宣言には、高濃縮ウランを禁止する内容が含まれている。

 北朝鮮を庇おうとしているわけではない。北朝鮮は大変クレバーで合意文の弱点をよく見つける。ジュネーブ合意にはウラン濃縮については明確に規定されておらず、米国が義務を履行していないと北朝鮮が判断したため、姑息な手を使い始めたのだ。

 北朝鮮がそんなことをしてもいいと言ってるわけではない。北朝鮮が姑息な手を使えば、それを解決するため、交渉を通じて中止させる必要がある。しかし、米国は交渉をする代わりに『あなたは(我々を)騙している。あなたと話すのに疲れた』と宣言してしまった。ブッシュ政権は『お前の罪を認める用意があれば、我々に来い』と突き放した。そのようなアプローチは成功しなかった。

 私たちが北朝鮮を信頼するなら、交渉は必要ないだろう。北朝鮮を信頼しないから、交渉が必要なのだ」

 -北朝鮮の核・ミサイル実験の中止や凍結の見返りとして、韓米共同軍事演習を縮小・中止することについてはどう思うか。二つの提案が米国と韓国の国内の反対で成立できないなら、いかなる見返りを北朝鮮に提供できるだろうか。

 「私は韓米と北朝鮮が軍事訓練を相手側をあまり脅かさない方法で行うことができると信じている。双方が訓練場所を非武装地帯(DMZ)から離れた方向に移動させることを真剣に検討すべきだ。また、訓練に動員される武力も見直す必要がある。北朝鮮側はスカッドミサイルや弾道ミサイルの発射、韓米側はB-52やB-2、あるいはB-1Bランサーのような精密爆撃機などの戦略兵器システムなど(を動員すること)について考えてみる必要がある。

 演習の縮小は良いアイデアだが、相互的でなければならない。また、演習がより透明に行われるべきだと思う。北朝鮮がオブザーバーとして韓米合同軍事訓練を参観するなら、歓迎すべきことだ。今のように大規模な練習をしなくても、韓米は戦闘態勢を維持できる。

 しかし、どちら(韓米と北朝鮮)も軍事訓練を一切諦めるのは非現実的だと思う。両方とも強い抑止力を維持したいと思っている。また、弾道ミサイル発射や核実験のような北朝鮮の核の脅威と韓米の在来式軍事訓練を交換することは、私は好まない。それは悪い取引だと思う。

 その代わり、北朝鮮が核・ミサイル実験を中断するなら、その目的で課した制裁を解除することはできるだろう。それが互いの目的に見合う取引だ」

満塁ホームランではなく犠牲バントで信頼を積み重ねるべき

 -あなたは最近、核問題のロードマップの報告書で、米朝間のプエブロ号の返還交渉、朝鮮戦争に参戦した米軍遺骨発掘の再開、南北米中による国際宇宙ステーションへの共同宇宙人の派遣など、36項目を超える漸進的かつ小規模の処置を提案した。このような対策が北朝鮮の核能力の高度化を止められると見るか?

 「原理は簡単だ。信頼が“0”の状態で出発すれば、相手を倒すことだけを考えるようになる。また、直ちに最大目標に行こうとしても、決してそこには到達できない。例えば、ガールフレンドと初めてのデートで食事もしないうちにプロポーズするわけにはいかないのではないか。それはあり得ないことだ。

 小さな措置を通じて、核問題を進展させると確信している。そのためには満塁ホームランではなく、犠牲バントで繋ぎ、一度に1点ずつを得点していく『スモール・ベースボール』の試合をしなければならない。私たちは現実的になる必要がある。最初の段階から信頼関係の構築や北朝鮮も信頼する過程なしに、北朝鮮に“最優良資産”の核兵器を放棄するように説得するのは現実的ではない」

 -文在寅(ムン・ジェイン)政府は就任以来、トランプ政権の『最大の圧迫』政策に歩調を合わせてきた。これは良い戦略だと思うか。それともより良い戦略があると見るか?

 「米国と韓国が歩調を合わせるのは、いつでもいいことだと思う。韓国や米国が北朝鮮の核問題について協議や調整せず独立的に動くときは、例外なく効果を上げられなかった。特に、北朝鮮がミサイルを発射し、核実験を行ったため、文大統領がトランプ大統領の最大の圧迫に協力していると強調するのは非常に適切だと見ている。

 しかし、北朝鮮は米国を自国の安保に対する脅威とみなしている。韓国については、それよりも政治的脅威とみなしている。したがって、米国と韓国が共に協力しながらも異なる役割を果たす機会があると思う。米国は韓国に対する安保保証者としての役割を果たすことができるし、北朝鮮と交渉が妥結すれば、北朝鮮に対しても潜在的にそのような存在になり得る。

 韓国の立場では自分の役割を検討することが必要だと思う。接触を通じて北朝鮮を開放して、韓国の参加を通じて北朝鮮経済を開放し、家族や旅行などを通じて北朝鮮住民を開放する役割を果たすこともできるだろう。また、北朝鮮と政治的関係のためにも努力できるだろう。

 しかし、韓米が必ず調整しなければならない。韓国と米国の行動はそれぞれ異なるもののように見えるかもしれないが、調整さえすれば、一つの統一された戦略の部分になりえる」

 -トランプ政権は軍事チャンネルを復元したり、対北朝鮮人道支援を行う韓国の試みにも敏感に反応している。韓国にその役割を認めるかどうかは疑問だ。

 「それは新しい問題ではない。古い問題だ。さらに、バラク・オバマ政権も朴槿恵(パク・クネ)大統領が関与を試みているように見えた時は敏感になっていた。もちろん、トランプ政権がもう少し柔軟になってほしいと思っている。米国は韓国が経済的にも政治的に北朝鮮と関与するために取る行動を歓迎すべきだ。今すぐは難しいかもしれない。多分今は新しい制裁を執行しなければならないだろう」

マンスフィールド財団のフランク・ジャヌージ代表=イ・ヨンイン特派員//ハンギョレ新聞社

 -「太陽政策」は、部分的には北朝鮮に対する比較優位に立脚した韓国の自負心に基づいていたといえる。しかし、北朝鮮の6回目の核実験、特に成功的な水爆実験で、韓国の人々は自尊心をかなり傷つけられた。戦術核兵器や核武装なしでもこのような相対的剥奪感を克服できる方法があるだろうか。

 「実は、北朝鮮の核兵器は単なる軍事安保に関わるものではない。核兵器は政治的安定あるいは政治的自尊心、南北間の自負心の競争などに関わるものでもある。このような点のために、北朝鮮が核兵器を放棄するように説得することがあれほど難しいのだ。

 北朝鮮がどうして軽水炉を欲しがっていたと思うか。部分的には韓国が持っているからだ。なぜ韓国はミサイルプログラムを望んでいるのか? 北朝鮮が持っているからだ。北朝鮮が衛星を打ち上げるのに、どうして韓国が衛星を発射できないかということだ。このような自尊心の領域は本当に実在する部分だ。

 太陽政策は、部分的には韓国が成し遂げたことに対する自負心から出たものと考える。民主主義、活力ある経済、経済的に豊かで立派な教育を受けた人たちなど。韓国人はそのような自負心を北朝鮮に示したがっていた。私は韓国が依然としてこのようなすべてのものについて自負心を持つことができると思う。韓国が(北朝鮮の核兵器の保有を)恥辱と考える必要はない。韓国は依然として生活水準や政治、人権など、全ての要素ではるかに優れた国だからだ。

 南北関係は、これまで一方的だった。北朝鮮は、核兵器を持っているという自負心が生じて、南北交流を受け入れることがさらに容易になるかもしれない」

中国の協力引き出せるかは党大会後に明らかになるだろう

 -中国の習近平国家主席が対北朝鮮制裁など、北朝鮮核問題と関連して、今月中旬の共産党党大会後も米国の対北朝鮮強硬政策に続けて協力すると見るか?

 「朝鮮半島に対する大きな戦略的な質問は、基本的には米国と中国の影響力と関するものだ。朝鮮戦争も部分的には北東アジアで中国と米国の影響力の衝突だった。今も米中の間には戦争状態ではないが、依然として北東アジアで影響力のための競争が存在する。

 習主席はトランプ大統領が望むレベルの『最大の圧迫』には同意しないだろう。中国はこうした圧力が戦争をもたらしたり、北朝鮮の崩壊を招くことを懸念しているからだ。中国は特定の地点まで協力し、その地点を超えれば、『すまないが、私たちにはこれ以上はできない』と話すだろう。まだその地点には到達していない。中国からいかなる協力を引き出せるかは党大会後に明らかになるだろう。中国は、自分たちのアプローチにより自信を持ってグローバル舞台に出てくるだろう。したがって、トランプ大統領に盲目的に従うことはないだろう」

 -多分石油の遮断が中国側の協力の最後のリトマス試験紙になるかもしれない。

 「そうだ。しかし、まだは本当に分からない。冬がくれば北朝鮮は電力生産のために油類が必要になるだろう。冬には、北朝鮮の水力発電が減るからだ。冬にどんなことが起きるのかを見守るべきだ」

ワシントン/イ・ヨンイン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/813728.html 韓国語原文入力:2017-10-09 21:51
訳H.J(9520字)

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