中国が国連安全保障理事会(安保理)の新しい対北朝鮮制裁決議(2371号)の履行に向けて、15日から北朝鮮産海産物輸入を全面禁止したところ、商人たちが抗議デモを繰り広げるなど反発が起きている。北京など内陸地域の海産物供給も大幅に減少した。
海産物問屋の彭ヤルン氏は18日付「サウスチャイナモーニングポスト」のインタビューで、通常北朝鮮産の貝を毎日1500キロずつ北京・河北省一帯に供給してきたが、最近、国境地域で供給量がぐんと落ちたと言い、「今日は250キロしかない」と話した。北朝鮮産は中国産よりキロ当たり20人民元(約330円)ほど高いが、2年前からより大きく新鮮だという認識のおかげで求める中国消費者が増えた。彭氏は、「あそこ(北朝鮮)は汚染されておらず、海産物を洗わずにそのまま食べられるほど」だとしながらも、「今は中国産の貝で代替するしかない」と話した。昨年、北朝鮮は中国に1億9千万ドル(約206億円)分の海産物を輸出した。
北朝鮮東海の水産物が中国の地に入る窓口だった吉林省琿春の商人たちは直撃弾を受けた。一部の商人たちは16日、琿春の北朝鮮産海産物専用通関場の圏河海関(税関)の周辺でデモを繰り広げた。当局が15日から海産物通関を全面不許可し、北朝鮮産海産物を積んだ貨物車両が豆満江(トゥマンガン)の橋の上で足止めされたためだ。商人たちは「朝鮮(北朝鮮)制裁の前提は中国の公民が損失を負わないように保護することだ!」、「血と汗とお金がすべて中国の橋の上にある。中国の海関は通過させろ!」と書いた横断幕を掲げた。
中国のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の微信(WeChat)に基づくメディア「大力時刻」が伝える当時の状況はこうだ。14日午後4時頃、商人たちが翌日から輸入が禁止されるというニュースを聞きあたふたと運搬を開始したが、午後5時半に北朝鮮側の税関職員らが退社した。北朝鮮側は15日に正常勤務を開始して車両を通過させたが、中国側はこの日から輸入を中断させた。来ることも行くこともできない車両数十台に積まれた冷凍海産物が、夏の日差しで解けはじめ、16日からは圏河海関一帯に腐った海産物のにおいが鼻をつくようになった。
琿春の商人たちは足止めされた貨物通関も心配だが、北朝鮮内に作っておいた冷凍倉庫と加工施設が気がかりで地団太を踏んでいる。ある商人は「イカだけでも数万トンはなるはずだが、これは琿春の中国商人たちがもうすでに全部お金を払って北朝鮮の冷凍倉庫に保管しているものだ」と話した。