ドナルド・トランプ米大統領が10日(現地時間)、北朝鮮との積極的交渉の可能性を開けておく旨を発言した。北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)試験発射とトランプ大統領の「炎と怒り」発言で緊張指数が急騰した朝鮮半島情勢が、鎮静局面に反転する契機となるかに注目が集まっている。
トランプ大統領はこの日午後、ニュージャージー州ベッドミンスターのトランプ・ナショナルゴルフクラブで国家安保会議(NSC)を開いた後記者団に会った席で「与件が変われば北朝鮮との交渉を検討するか」という質問に「もちろんだ。私たちは常に交渉を考慮している」と話した。続けて「ビル・クリントンを見ろ。彼は交渉を途中でやめた。彼は弱かったし効果がなかった。ジョージ・ブッシュの時も何があったかを見よ」として、以前の政権を批判した。特に「バラク・オバマの時は何があったかを見よ。オバマはこれ以上交渉に対して話すことも好まなかった。時は来た。誰かが(交渉を)しなければならない」と強調した。北朝鮮核問題を交渉で解決する強い意志を示したと解釈することができる。
交渉する時が来たという発言は、直ちに向かい合って座り公開的な会談をするという意味ではない。「与件が変われば」に対する答えであるので、「正しい与件が備わってこそ交渉できる」というトランプ行政府の既存方針の延長線上にある。
ただし、最近になって朝米間に造成された“強対強”構図の出口を模索しようとする性格があり、大統領の発言を根拠に参謀が緊張の高揚を防ぐために多様で非公式な水面下での接触を試みる可能性がある。ジェームズ・マティス国防長官もこの日記者たちに「米国の努力は外交が主導している」と強調した。
トランプ大統領は「炎と怒り」発言は誤りではないと主張し、北朝鮮の「グアム包囲射撃声明」に対する強い警告も続けた。「緊張緩和のために緊張を高めさせる」トランプ大統領特有の交渉戦略が依然として作動していると言える。自身の発言に対する批判に対して「その程度は強硬ではない」として「北朝鮮が長い間私たちに対してしたことを見よ」と述べた。これは批判に対して「誤りではない」と強弁する彼の典型的対応方式だ。
「先制攻撃を考慮しているか」という質問には「私たちはそうしたことについて露骨に話さない」として、明確な言及を避けた。「炎と怒りよりさらに強硬なものがあるならば、それは何か」という質問にも「いずれ分かるだろう」と話した。やはり敏感な事案については曖昧戦略で避けるトランプ大統領の方式だ。ただし「グアム包囲射撃」声明に対しては「金正恩(キム・ジョンウン)がグアムに何かすれば、これまで目にしたこともないことが北朝鮮で起きるだろう」とし「よく考えた方がよい。そうでなければ苦痛を味わった一部の国家のように北朝鮮も苦痛を味わうことになるだろう」と強く警告した。中国に対しては「北朝鮮問題により多くの役割をすることができる」とし圧迫を継続した。
突破口用意のための韓米間接触も続いている。韓国大統領府のチョン・ウィヨン国家安保室長と米ホワイトハウスのハーバート・マクマスター国家安保補佐官は11日に電話で話して対応策を協議した。パク・スヒョン大統領府報道官は「チョン室長とマクマスター補佐官は、午前8時から40分間通話して北朝鮮の挑発と緊張高揚行為による朝鮮半島および周辺の安保状況と対応策を協議した」と明らかにした。さらに「両国の安保と国民の安全を確保するために取っていく段階別措置について、緊密で透明に協調するという約束を再確認した」と伝えた。「段階別措置」については「安保関連懸案であるため(公式ブリーフィングの他には)付け加えられない」として言葉を控えた。ただし大統領府関係者は「北朝鮮が(韓国系カナダ人)イム・ヒョンス牧師を数日前に解放し人道的措置を取ったので、北朝鮮もこの問題に対して対話の窓口を開いているのではないかという感触を持って慎重に見守っている」と話した。