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[社説]朝米は命を賭した「脅し文句の応酬」を中止せよ

登録:2017-08-10 01:28 修正:2017-08-10 22:05
ドナルド・トランプ米大統領と金正恩北朝鮮労働党委員長//ハンギョレ新聞社

 ドナルド・トランプ米大統領が8日(現地時間)、北朝鮮に対して「(米国を威嚇し続けるならば)世界が目にしたことのないような“炎と怒り”(fire and fury)に直面するだろう」と警告した。そのわずか数時間後には北朝鮮軍総参謀部が「火星-12型(ミサイル)でグアム周辺の包囲射撃作戦案を慎重に検討している」と応じ、米国の太平洋軍事基地があるグアム爆撃の可能性に言及した。北朝鮮はまた「米国の先制攻撃企図が見え次第、即ソウルを含む傀儡1,3野戦軍地域のすべての対象を火の海にする」とし、全面戦争の可能性まで付け加えた。トランプ式「北朝鮮火の海(fire and fury)」に「グアム・ソウル火の海」で正面から応じたわけだ。たとえ言葉の応酬ではあっても、競って走る車のように危険この上ない。

 トランプ大統領の発言は、実際に北朝鮮を攻撃する意思というよりは、北朝鮮に対する警告および中国・ロシアに対する対北朝鮮制裁履行圧迫、そして何よりも米国の有権者を意識した国内政治用と解釈される。だが、そうした意図とは無関係にこうした「脅し文句の応酬」は、北朝鮮核問題を解決するよりは北東アジアの危機を高め、きわめて不確かな情勢を作るだけだ。ワシントンポストは社説で、トランプの言葉を「軽率で不必要な発言」と規定して、「世界で最も強力な国の大統領の言葉が、なぜ北朝鮮指導者の水準に落ちたのか」と嘆いた。

 挑発的言動で危機を拡大した責任の出発は北朝鮮側にある。相次ぐ核・長距離ミサイル試験をしても自制どころか「韓国火の海」を口にする北朝鮮政権の無謀さは、手綱の解けた馬を連想させるほどだ。もちろん、米国と北朝鮮の「脅し文句の応酬」が直ちに物理的軍事衝突につながりはしないだろう。だが、トランプも金正恩(キム・ジョンウン)も以前の指導者に比べて予測不可能性が高いという点は非常に憂慮すべきことに違いない。たとえレトリックであっても、発言の強度が果てしなくエスカレートするならば、ややもすると些細な誤解が偶発的衝突に飛び火しない保証はない。そうなれば朝鮮半島で何が起きるのか、誰も確信をもって言えない。

 北朝鮮と米国は強硬な文句の応酬で危機を高めるより、実質的に北朝鮮核問題を解決できる真剣な解決法を模索しなければならない。韓国政府もこうしたムードを作るために能動的な役割をしなければならない。「朝鮮半島における軍事的衝突は絶対起こしてはならない」という揺るぎない目標を再び確認し、朝鮮半島危機を落ち着かせることに積極的に取り組まなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/806203.html 韓国語原文入力:2017-08-09 18:05
訳J.S(1264字)

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