文在寅(ムン・ジェイン)政府の対外政策と関連し、米国国防研究院の東アジア責任研究員であるオ・コンダン博士(67)はハンギョレとのインタビューで、韓国の自尊心と堂々さを特に強調した。米国防研究院は、国防省と連邦政府のための国策研究機関だ。オ博士はランド研究所で7年、国防研究院で20年など、安保戦略を研究してきた。8日(現地時間)のインタビューに続き、10日に電子メールで追加インタビューを行った。
-文在寅大統領とドナルド・トランプ米大統領が早期に首脳会談を行うことにした
「トランプ政権は、米国歴史上とても独特な行政府だ。自分の所信を持って大統領を補佐する人たちが欠けている。そのような面で韓国はトランプ政権を相手にするのは非常に難しいだろう。また、トランプ大統領は企業家であるため、非常に驚くべき行動を取って相手をひやりとさせてから解決したりする。彼に対する理解を正確にもっているべきだ。一番重要なのは、韓国が大国ではなくとも中間サイズの“ミドルパワー”国家として自信を持つことだ。韓国が進むべき道、同盟の重要性、北朝鮮を相手にするのに必要な将来の課題などに対する確固たる信念と確信を持った態度を示さなければならない。無条件に行っておもねるとか、何かを差し出すなどすることは望ましくない。国家対国家の関係であるため、堂々と対処すべきだ」
-最初の首脳会談で最も重要に伝えなければならないメッセージは何と見るか
「韓国が持っている歴史的で地政学的なジレンマを正確に知っていくことだ。『同盟を重要視し米国と良い関係で過ごすことを望むが、やはり北朝鮮と接している当面の課題が厳しいということをあなたにわかってもらえると本当に嬉しい』というふうに話したほうがいい。そして『私たちは最善を尽くしているから一緒に行こう、そしてこれまでよりもっと深い協議を通じて常に対話をし、両者がお互いに解決していかなければならない』と話すべきだ。特に『韓国は北朝鮮と1階と2階に住む隣人のように地理的に近く、そのためあまりに敵対的な環境で反感を持って戦うこともできないものであり、いつかは抱きかかえなければならない、あなたはそのことを理解し、お互いに協力しよう』と話したら良い。なので、米国を尊重するようにしながら韓国のジレンマを説破することがとても重要だ」
-THAAD(高高度防衛ミサイル)と韓米自由貿易協定(FTA)の議題を最初の首脳会談であげた方がいいのか
「不利な議題は先に出す必要はない。切羽詰った方が切り出すようになっている。対応策だけを考えていればよい。また、最初の首脳会談では原則だけ話せばよい。韓国との同盟がなくては、米国は太平洋パワー(勢力国家)にしかならない。韓国は地政学的にも戦略的に大陸と海洋を結ぶ半島としてとても重要だ。このような原則だけ話せばよい」
-THAADは韓国内で撤回を望む声が多い
「THAAD配備は今ほとんど完了した状態だが、国が慌ただしい最中に陥っているときに配備されたものだ。いったん配備されたものを持って帰ってくれと言ったら、トランプ大統領が『よし、ではすべて撤収する』というふうに出る可能性がある。トランプ大統領はその程度の感覚はありそうだ」
-THAADと関連し、中国が依然として経済的報復を行っている
「中国は弱者には強く、強者には弱い。韓国が中国に堂々とした自信感を見せなければ、政治的・心理的な属国になりかねない。反中国をせよというのではなく、中国を正確に知り堂々と対処しなければならない」
-韓国では無条件に米国に合わせるのが国家の利益だと考える人が多い
「それは本当に間違っている。国家の力では差があるが、小さな国家でも国家としての尊厳と立地に対する戦略はあるべきだ。交渉をの際には怖気づいても言うべきことはきちんとし、要求することは要求しなければならない。ただし、交渉する時に自分の意思をちゃんと開陳せずに、交渉が終わった後で大国に蹴られて多くの損害を被ったというような話をして回っては困る。"
-米国の保守的メディアなどが韓国の新政府にを意図的に攻撃し、それが韓国の世論を分裂させる場合もある
「どの国にも極右、極保守、極端的な民族主義がある。一方に偏った少数の声に過敏に反応する必要はない。同盟国として被害を受けることも多いが、なぜ我々をそんなに苦しめるのかと明確に話さなければならない」
-北朝鮮の核問題と関連し、米中が韓国を排除するのではないかという懸念も高まっている
「それも一種の劣等感だ。自らを卑下する人は他の人たちにも尊敬を受けることができない。戦略と実用的な考えは、国家、民族的な経験、世界的な経験であり文化的に自信が深い者に生まれる。韓国は今、ひそかに深い甕(かめ)の台のようにならなければならない」