文在寅(ムン・ジェイン)政権の外交ドライブが始まった。就任から二日で米国・日本・中国首脳との電話会談を行い、それぞれ北朝鮮核やTHAAD(高高度防衛ミサイル)、慰安婦の合意問題に対する首脳間の初の意見交換が実現した。ハンギョレは11日午後、延世大学行政大学院長室で「文在寅の外交・安保ブレーン」と呼ばれるキム・ギジョン教授に会って、新政権の外交・安保戦略について尋ねた。
キム教授は「韓米同盟に対する変化の要求があれば、それに合わせて再調整すべき」としたうえで、「米国の言いなりになるのは、同盟を口実にした一方向の国家関係だ。私たちの国益に資する方向で進める」と明らかにした。南北関係を推進力として、朝鮮半島の運命を韓国が主導することで、周辺国の協力を引き出す「促進者」としての役割も強調した。次は、キム教授との一問一答。
-今年2月、米国で行った「文在寅の外交・安保説明」はどうだったか?
「文在寅大統領が反米ではないかという質問が多かった。文大統領は韓米同盟が韓国の安保の礎であり、北東アジアと朝鮮半島を安定させるという信念を持っていると答えた」
-トランプ大統領がTHAAD費用を請求したことをきっかけに、韓米同盟を再調整すべきと言われている。
「ワシントンが同盟の変化に向けた要求をするものと見られる。再調整すべきだ。再調整せず、米国の言いなりになるのは、同盟を口実にした一方向の国家関係だ」
-これまで李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵政権の9年間がそうだった。
「ノーコメントする(笑)。同盟は友人だから『ノー』と言えるべきだ。友人関係だから、場合によっては争ったり、調整したりもする。韓米関係はそこまで成熟したと思っている」
-韓米関係がどのように変化すべきだと思うか?
「これまで韓米同盟を規定するアイデンティティは後見人と被後見人の関係だった。今は新しいアイデンティティが必要だ。米国は利益的観点から再調整を目指すと思われるが、長期的に見て、韓米関係は朝鮮半島と北東アジアで互いが果たす役割という観点に基づいて発展していくべきだ」
-文大統領は朝鮮半島の運命を韓国が主導すると述べた。
「他律的にはならないということだ。これまで多くの場合、国際政治的動力に押されて、朝鮮半島の運命は列強によって決められており、私たちが犠牲者になった側面がある。これを受け身の姿勢でただ見ているのは時代に対する責任ではないというのが、大統領の考えだ」
-具体的な方法は?
「韓国の国力に合わせて朝鮮半島の平和に向けた外交的役割を果たしたいということだ。このためには、韓国が確保できる外交的空間を南北関係から見出さなければならない。目標は朝鮮半島の平和だ。北朝鮮だけではなく、周辺大国が合意する構造を導かねばならないが、その点でも南北関係が重要だ。その構図が文在寅大統領が朝鮮半島のを眺める出発点だ。トランプ政権の『最高の圧迫と関与』は私たちの考えと一致する。今は圧迫に重点を置いているが、これは北朝鮮を対話のチャンネルに呼び込むための手段だ。北朝鮮の変化という目標は(韓米が)同じだ。方法として圧迫もして関与もするということだ。もしかしたら、米国と韓国が効果的に分業できる可能性もあるかもしれない」
-韓米の圧迫と関与の末に北朝鮮をどのようにテーブルに引き出すつもりなのか。
「非核化の出口論については韓国と米国が(協議して)合意できる。過去の政権の『非核開放3000』と『朝鮮半島信頼プロセス』は、北朝鮮の非核化を“入口”に置いた。そのような硬直性が北朝鮮崩壊論につながり、南北間の緊張を高めた。問題は入り口の方に何を置くのかだ。私たちが掲げている(北朝鮮の核廃棄)3段階論は、米国と政策的に調整できるものだと思う。(核の)凍結以降、将来の核の廃棄、究極的には過去の核の廃棄を目指す段階的なアプローチだ」
-北朝鮮ももらえるカードがあるべきではないか?
「中国が提案した『双中断』(北朝鮮の核・ミサイル発射と韓米合同演習の中断)と『双軌並行』(北朝鮮の非核化と平和体制の同時推進)を入口に置いて、私たちに合わせたモデルにする研究を進めてもいいかもしれない。そのアイディアは良いと思う」
-THAADはどうするのか?
「文大統領は昨年10月『両国の合意は尊重するが、次期政府に任せてほしい』と述べた。配備過程の間の時間を戦略的に活用しようとする意図もあり、希望もあった。これから本格的に政策を検討していくことになるが、(THAADが配備された)現時点ではTHAADを現状のまま凍結したり、撤退または追加配備するような決定を下すようなことはできない。検討していく過程で、韓国国内法の手続きと民主的手続きを踏み、中国と米国に対する外交的な交渉を進める」
-対日関係はどのように解決するのか?
「日本に対しては基本的にツートラックでアプローチすべきだ。ツートラックは北東アジアの協力と歴史問題を分離して対応するものだ。歴史問題については、政府の役割が限られている。慰安婦問題の合意については政策的検討が必要だ。日本は再検討すべきではないというが、私たちは時間が必要だと言っているのだ。文大統領は北東アジアの平和と安定に向けて日本と協力し、共同ビジョンを持つ事案が多いと見ている。韓日が共同ビジョンをつくることができれば、北東アジアの未来を決定する重要な要因になると思う」