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[コラム]文在寅-トランプ政権の“北朝鮮核問題の相性”

登録:2017-05-11 23:54 修正:2017-05-12 07:33
文在寅大統領 とドナルド・トランプ米大統領//ハンギョレ新聞社

 レックス・ティラーソン米国務長官が3日、国務部職員を対象に初めての就任演説を行った。反芻が必要だ。ドナルド・トランプ政権が発足して以来、最も精製された形の外交政策と見ることができるためだ。この間、存在感が見られず「透明長官」とこき下ろされてきたティラーソン長官の“カミングアウト”宣言と見ることもできる。

 ティラーソン長官の演説は、今後文在寅(ムン・ジェイン)政権が米国の外交政策を計るにも良い資料となりうる。もちろん、トランプ大統領は国内の政治的必要に応じていつでも政策を変える可能性がある。それにも備えなければならない。それでも、ティラーソン長官の歩みは、4月初めの米中首脳会談以後きわめて一貫している。それだけ信頼に値する。

 ティラーソン長官は演説で“4No”+ 朝鮮半島非核化に言及した。北朝鮮に対する▽政権交替▽政権崩壊▽人為的統一の加速化▽38度線の北側に越えて行かないという宣言が“4No”に該当する。

 “4No”は文在寅政権とトランプ政権のしっかりした共通の土台になりうる。北朝鮮に対する政権交替や崩壊、吸収統一などは推進しないという3つの基本原則に文在寅政権は“当然に”同意すると見る。

 そこへ4番目の原則、すなわち「38度線の北側へ越えていかない」という言明は一種の“不可侵宣言”だ。これらすべての原則が、相互の体制認定と相互不可侵の約束を含む1991年の南北基本合意書の内容と合致している。

 ティラーソン長官はまた「朝鮮半島非核化」がすべての対北朝鮮接近法と戦略を構築する出発点だと規定した。周辺国がこの目標にすべて同意している有用な目標とも述べた。1992年に発効した南北間の「朝鮮半島非核化に関する共同宣言」と一致する。

 北朝鮮を「悪の枢軸」と規定したジョージ・ブッシュ政権時期を思えば、悪くない。また、李明博(イ・ミョンバク)政権や朴槿恵(パク・クネ)政権の対北朝鮮政策の基底には、無意識かもしれないが事実上の吸収統一や崩壊戦略に基づいていた。バラク・オバマ政権も、時期と条件により多少の偏差はあったが、概して“4No”を明確にはしなかった。最初のボタンが間違ってかけられたので次の段階に進むことはできなかった。

 “4No”+ 朝鮮半島非核化は基本戦略であり目標だ。すでに文在寅政権とトランプ政権は、対北朝鮮政策に関して半分以上の共感を持って出発することになる。制裁か対話かという戦術だ。異見がありえるが、戦術的差異は克服が可能で長くは続かず、成果が出てくれば解消される。

 ティラーソン長官は先月28日、ニューヨークの国連本部で北朝鮮核問題と関連した国連安全保障理事会長官級会議を開いたことを契機に、中国の王毅外交部長に会い“4No”方針を伝えたという。中国は北朝鮮との“党大党”の窓口である対外連絡部を通じて米国の立場を伝えたという。北朝鮮の反応は知らされていない。追加的な相応の対価を要求するだろうが、真剣に探索する可能性はある。今度は韓国政府が積極的に外交空間を創り出していく番だ。

 北朝鮮核へのアプローチと関連して、韓米間の共通分母はすでに多いとし“意図的に”楽観的な部分を強調する理由がある。米国の一部保守メディアと対北朝鮮強硬派の専門家らが、対北朝鮮政策に関連して文在寅政権とトランプ政権間の異見の可能性を過度に強調しているためだ。

イ・ヨンイン ワシントン特派員 //ハンギョレ新聞社

 文在寅政権の政策が具体化されていないのに、可能性だけを材料に政権の出発初日から揺さぶりをかける姿はちょっと不快だ。彼らに“盧武鉉(ノ・ムヒョン)トラウマ”があるならば、私たちには“ブッシュトラウマ”がある。少なくとも数カ月は忍耐して見守ることが韓米同盟に対する最小限の礼儀だ。保守的な韓国政府だけが韓米同盟のパートナーだと考えないならばの話だ。

イ・ヨンイン・ワシントン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/794375.html 韓国語原文入力:2017-05-11 18:27
訳J.S(1731字)

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