日本政府が釜山少女像設置に抗議して一時帰国させた長嶺安政・駐韓大使を85日ぶりに帰任させると発表した。日本はこの間、釜山少女像を撤去するという具体的行動を韓国が示さなければ大使の帰任はないという強硬姿勢を守ってきたが、韓国の政権移行期を迎えて突然方向を定めた。
岸田文雄外相は3日「4日、長嶺安政駐韓大使と森本康敬・釜山総領事を帰任させることにした」と発表した。岸田外相は3カ月近く帰任させなかった駐韓大使を電撃帰任させた理由として、朴槿恵(パク・クネ)前大統領罷免、北朝鮮問題共同対応、韓日慰安婦合意を挙げた。
岸田外相は「まず朴槿恵前大統領の罷免で韓国が政権移行期に入り、(日本が)情報収集に一層力を傾ける必要がある」として、「第二に、北朝鮮問題に対応するため日本と韓国が高い水準で緊密な情報交換をする必要がある」と述べた。さらに「慰安婦問題に対して今まで外交当局を通じて抗議し日韓合意の重視を要求したが結果が出なかった」として「慰安婦像(日本政府は少女像をこのように呼ぶと最近発表した)問題に対して長嶺大使が黄教安(ファン・ギョアン)大統領権限代行に直接合意の遵守を要求し、次の政権においても継承を要求する必要があると判断した」と話した。
日本政府は少女像に抗議して大使を帰国させ、歴代最長期間の85日間も帰任させない強攻カードで支持率を引き上げるなど、政治的効果をしっかり得た。大使の帰国に続き、少女像の撤去を圧迫し、教科書に「独島(日本名:竹島)は日本の領土」という記述を入れるなど右傾化を加速した。だが、朴槿恵大統領の罷免で韓国が大統領選挙局面に入り、北朝鮮の相次ぐミサイル発射で対北朝鮮情報共助強化の必要性が高まり、反日感情が高まって韓日慰安婦合意が失敗に終わる可能性が高まると判断し、大使の帰任を決めたものと見られる。日本国内でも「韓国たたきに集中して適切な帰任時期を逃した」という批判が出ている状況だった。
岸田外相は少女像と関連した状況変化がないのに大使を帰任させる理由を問う質問に対して「現在、韓国政府の対応は(釜山少女像撤去という)結果に結びつくものではないと判断しています。だから直接大統領権限代行に日本の考え方を伝える必要があると判断した」と答えた。韓国で政権が交替する場合、新政府の慰安婦合意に対する態度が変わる可能性を問う質問には「日本と韓国両国が国際社会の前で明らかにした合意であります。これは政権が変わっても変わりがないと考えます」と答えた。
日本政府の決定に対して韓国外交部当局者は「長嶺大使の帰任を契機に両国間の疎通がより緊密になされると期待する」と話した。
東西大日本研究センターのチョ・セヨン所長は「日本政府でも計算してみた結果、帰任をこれ以上先送りするのは得より損が多いと判断したためだろう」と話した。チョ所長は「しかし大使が復帰するといっても、現在の韓国(代行)政府と新たな関係を図れる状況ではないので、直ちに韓日関係が変わることはないと見る」として「韓国大統領候補が表面化する現時点では、情報収集および各キャンプとの交流に集中するのでないかと思う」と見通した。