中国の権力構造が習近平国家主席1人に集中しているという評価が多い中で、中国共産党の党憲と国家憲法に「習近平思想」という用語が入るだろうという展望が提起された。
中国共産党中央弁公庁が今秋の19回党大会で党憲改正を準備中だが「習近平思想」という用語を新たに入れて、党の行動指針とすることになる予定だと香港の明報が北京消息筋を引用して22日報道した。現在の党憲にある「中国共産党はマルクス・レーニン主義と毛沢東思想、トウ小平理論の『3代表』重要思想と科学発展観を自らの行動指針とする」という部分に「習近平思想」が追加されるという意味だ。
党が党憲を改正すれば、憲法もそれに合わせて改正されるのが慣例だ。「トウ小平理論」や江沢民元主席の「3代表論」は、それぞれ2年の間を置いて憲法に反映された。ただし、胡錦濤元主席の「科学発展観」は憲法には入らなかった。「習近平思想」が今年の党大会で追認されるならば、来年の全国人民代表大会(立法府)が改憲に着手し、2019年には憲法でも同じ表現が入る可能性が高い。
歴史学者で政治評論家の章立凡は「もし『習近平思想』という名前を書くことになれば、『理論』止まりのトウ小平を越えて歴史的に毛沢東に次いで二番目に『思想』のある指導者になる」として、多少驚きを見せた。ただし、このように重要な決定は、実際の施行前に世論を推しはかるために意識的に言論に流す場合があり、実際に「習近平思想」を順調に推進できるか、その具体的な内容がどうかは分からないと話した。
明報は消息筋の話を引用して、来年の改憲には国家の最高監査機関である国家監察委員会設立方案も盛り込まれる予定だと伝えた。 また「任期5年、重任可能」の国家主席の任期規定が修正されるかもしれないとも伝えた。これは「反腐敗」を権力基盤強化に活用してきた習主席が執権延長を試みることが出来るかに関心が集まっている中で出てきたことなので目を引く。
中国ではすでに「習近平思想」を党憲に入れるための世論戦がなされているという観測も出ている。最近、官営中央テレビ(CCTV)が広報している3部作「初心」は習主席の一代記を描く内容で、文化大革命当時の彼の「下放」時期と県書記時期を扱っている。