マレーシア検察は1日、金正男(キム・ジョンナム)氏毒殺容疑で逮捕されたインドネシア人のシティ・アイシャ(25)とベトナム人のドアン・ティー・フオン(29)を殺人容疑で起訴した。
検察は起訴状を通じて、彼女らが13日午前9時、クアラルンプール国際空港第2ターミナルから逃走中の他の容疑者4人とともに、北朝鮮人の「キム・チョル」を殺害した疑いがあると明らかにした。キム・チョルは北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の異母兄である金正男氏が所持するパスポートに書かれた名前だ。
フオンとアイシャは依然として無罪を主張しているが、検察は2人の女性容疑者が殺害の意図を持って犯行を犯したと説明した。検察は彼女らの刑量に関して「有罪が認められれば死刑に処されるだろう」と明らかにした。マレーシア刑法は意図を持って殺人を犯した者については必ず死刑に処すよう規定している。
警察が今回の事件の関与者として指摘した駐マレーシア北朝鮮大使館2等書記官のヒョン・グァンソン(44)、高麗航空の職員キム・ウクイル(37)は、北朝鮮大使館に潜伏しているという。検察は今週中にリ・ジョンチョルも殺人容疑で追加起訴する予定だ。
北朝鮮のリ・ドンイル元国連代表部次席大使など高官級代表団は、先月28日にマレーシアを訪問し、金正男氏の遺体の引き渡しとリ・ジョンチョルの釈放をマレーシア政府に要求したが、マレーシア政府は冷ややかな反応を示している。28日、マレーシアのアフマド・ザヒド・ハミディ副首相は記者たちの質問に対し「現在進行中のすべての捜査手続きが確実に終われば(北朝鮮の)要求を検討することができる」と明らかにしたと、現地メディア「ザ・スター」などが伝えた。これは、これまで捜査に一貫して非協力的であった北朝鮮に対する不快感をあらわにしたものと解釈される。
また、今年早期総選挙を控えているマレーシアの政治状況を考慮すると、マレーシア政府が北朝鮮の要求を聞き入れる可能性は低い。多くの人が行き交う空港で化学兵器に使用される「VX」を利用し、金正男氏を殺害したというニュースが伝わり、北朝鮮に強硬な対応を要求するマレーシアの世論が沸き立っているためだ。