安倍首相「現憲法は敗戦の産物」
7月の参議院選挙「改憲ライン」確保し
「武力放棄の憲法9条」廃棄を推進
「安保法制は時間が経っても違憲」
野党など「侵略戦争を美化する改憲」糾弾
「改憲反対」が68%…3年間で16%p増加
「安倍首相は(昨年9月に集団的自衛権の行使を骨子とする)安保法制が成立したと言うが、違憲な法律はいくら時間が経とうが違憲です」
日本のゴールデンウィーク最中の3日、数万人の人波が東京江東区の臨海広域防災公園に集まった。 昨年の秋、日本社会を揺るがした安保法制反対闘争をリードした日本の市民団体は、1947年5月3日に日本の平和憲法が施行されたことを記念する「憲法記念日」に合せて大規模な「5・3憲法集会」を企画した。 演壇に立った野党第一党、民進党の岡田克也代表の演説に、聴衆は拍手とスローガンで応えた。
憲法記念日をむかえ、日本各地で改憲の賛否を巡る多様な行事が開かれるなど、改憲議論が本格化している。 主要紙はこの日、「改憲に対する日本人の認識」を尋ねるアンケート調査をはじめとした多様な特集記事を掲載し、NHKは主要政党の代表を呼び特集討論を行った。 今年7月の参議院選挙の結果によっては、戦後70年間、日本の平和を維持してきた「平和憲法」が改定される可能性もある。 安倍晋三首相は今年1月の年頭記者会見で「参議院選挙で改憲を訴える」としたのに続き、3月の参議院予算委員会では「憲法改正を任期中に成し遂げたい」と述べている。
安倍首相が改憲にこだわるのは、現行憲法が米国に強要された「敗戦の産物」と見ているためだ。 安倍首相に決定的な影響を及ぼした彼の母方の祖父の岸信介元首相は、太平洋戦争を起こした東条英機内閣(1941.10~1944.7)の閣僚(商工大臣)として戦時統制経済を企画した。 岸元首相は死ぬまで日本の侵略戦争について「正しい戦争」だったと考え、平和憲法を米国の占領政策の産物と見て「日本人の手で必ず改正しなければならない」という信念を持ち続けた。 安倍首相も2006年に出した著書『美しい国へ』で「国の骨格(憲法)を、日本国民自らの手によって白紙から作らなければならない。それでこそ、本物の独立を手にすることができる」と明らかにしている。
しかし改憲に向けた安倍首相の強い意志に負けず、これに抵抗する市民の反対闘争も本格化している。 行事会場に近い有明駅に降りると、悪天候にもかかわらず「安倍政権退陣」「憲法を守ろう」というスローガンを叫ぶ多くの市民でぎっしり埋まっていた。 大学1年のシラトイ・アイさん(19)は「身のまわりに憲法や政治について話すことをダブー視する風潮があるが、こういう現象をそのままにしてはいけない。 私たちは戦争経験者の生きた声を聴ける最後の世代だ。 若者が行動することが重要だ」と話した。 この日の集会には5万人が参加した。 現行憲法を守ろうとする“普通”の日本人たちの支持はますます高まっている。
朝日新聞が3日に報じた世論調査の結果によれば、憲法9条を「変えない方が良い」という回答が2013年3月には52%だったが、3年後の今回の調査では16%p増え68%になった。 9条を「変えた方が良い」という回答は27%にとどまった。NHK放送の調査でも「改憲は必要ない」という意見が3年間に16%から31%に倍増し、日本経済新聞の調査では憲法が「現在のままが良い」という回答が2004年以後初めて50%を超えた。
この日、集会を終えた市民は、二つの隊列に分かれて行進を始めた。「戦争法は今すぐ廃止!」、「憲法を守れ!」、「安倍政権は直ちに退陣!」など憲法死守を叫ぶ市民の叫び声が東京の有名観光地であるお台場や豊洲地域に響いた。