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米国務省人権報告書「韓国の国定教科書に表現・学問の自由侵害のおそれ」

登録:2016-04-15 05:31 修正:2016-04-15 07:24
中高校歴史教科書国定化に言及
歴史教科書国定化の反対運動に参加していた人たちが3月1日、ソウル光化門広場で今年の総選挙への投票を促す広報活動を行っている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パククネ)政権の歴史教科書国定化が米国務省人権報告書でも「懸念」の対象に挙げられた。

 米国務省が13日(現地時間)に発表した「2015国別人権報告書」によると、第2節「市民の自由を尊重」の「表現の自由」の項目で、2回に渡って韓国の中高校歴史教科書の国定化を新たに言及している。

 まず、「表現の自由」にある「検閲とコンテンツの制限」の部分では、「昨年10月、教育部は2017年度から中高校で、政府が出資した国史編纂委員会が製作した1冊の歴史教科書だけを使用するようにする計画を発表した」と説明した。続いて「これは2010年以来、学校が教育部によって承認された(検定)教科書を選択できるようにした権利を無くそうとするもの」と指摘した。国務省報告書は、「第1野党である新政治民主連合(共に民主党)がソウル行政裁判所に教育部の計画を阻止するための仮処分申請を出した」と紹介した。

 国務省は、「表現の自由」の項目にある「学問の自由と文化イベント」の部分でも、改めて歴史教科書の国定化を取り上げた。国務省は、「学問の自由または文化イベントを対象にした政府の規制はなかった」としながらも、「しかし中高校が歴史教科書を選択する権利を無くそうとする政府の計画は、(韓国の)学問の自由への懸念を高めた」と明らかにした。

 国家保安法なども韓国の主な人権問題として取り上げられた。国務省は韓国の人権報告書の「総評」で、「優先的な人権問題としては、表現の自由を制限する国家保安法と名誉毀損法、その他の法律、そしてインターネットへのアクセス制限、良心的兵役拒否者に対する処罰などが報告された」と記した。

 その他の人権問題としては、一部官僚たちの腐敗、包括的な差別禁止法の不在、性暴力や家庭内暴力、未成年者の売春、人身売買などに言及した。また、脱北者、少数民族、性的少数者(LGBTI、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス)、エイズ感染者、外国人などに対する社会的差別も問題点として指摘した。集会・結社の自由と、公務員と教師の政治参加に対する制限にも問題があると評価した。公務員の権限乱用に対する起訴など、政府の措置も見当たらない批判した。

チョン・ジョンユン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2016-04-14 11:27

https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/739692.html 訳H.J

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