国連・議会制裁から除外された
「北朝鮮の労働者を使用する第3国の団体」も含まれる
「武器」と無関係な物品関与を含む
「対象企業、米国に進出している場合のみ」の但し書き付き
義務条項ではない裁量条項
実効性はこれから見極めるべき
バラク・オバマ米大統領が16日(現地時間)発効した大統領令は、いくつかの点で、国連安全保障理事会(安保理)の対北朝鮮制裁決議2270号や2月に米国議会で可決された対北朝鮮制裁強化法のレベルを超える内容が含まれている。
ただし、実質的な制裁の履行のためには、制裁対象を具体的に指定する行政手続をさらに踏まなければならず、実効性があるかどうかもこれから見極める必要があるものと見られる。
最も目を引くのは、北朝鮮労働者の海外送出に関与した第3国の個人や企業などの団体にも制裁を加えるようにしたものだ。北朝鮮の労働者の海外送出に関する規定は、国連安全保障理事会の草案には含まれていたが、正常な経済活動に分類され、最終的に(決議から)除外された。
米議会の対北朝鮮制裁強化法にもこの条項は含まれていない。ワシントンの消息筋は「議会の立法内容にはないが、立法趣旨を生かした条項だと、米国側が説明した」と明らかにした。米政府が北朝鮮の核実験と長距離ロケット発射に対する独自の制裁の意志を表明したものと見られる。
しかし、この条項が、いわゆる「セカンダリーボイコット」のように、北朝鮮労働者の送出に関与している中国やロシア、モンゴルなどの企業を直ちに制裁するという意味ではない。関連条項によると、第3国の企業が米国に進出している場合のみ、それらの企業の米国内の資産や財産権に制約を加えることになっており、「セカンダリーボイコット」の側面を一部持っているレベルにとどまっている。また、「制裁を加えるべき」(shall)という義務条項ではなく、「加えられる」(may)という“裁量条項”になっている。
この条項が実効性を持つかどうかも疑問だ。現在、北朝鮮の労働者は、5万〜10万人程度が海外に派遣されていると知られており、中国とロシア、中東地域が大きな比重を占めている。しかし、中国の場合、飲食店や衣料品工場などの中小企業従事者がほとんどであり、ロシアの場合、林業、中東は建設分野に従事している。このような業種の第3国の企業が米国に支社などを置いて営業を行う可能性は低いものと見られる。
今回の大統領令は、いわゆる特定の分野制裁と呼ばれる北朝鮮の輸送や、採鉱、エネルギー、金融サービスと、金属、黒鉛、石炭、ソフトウェアの販売や供給、移転、購入に関与することについても制裁を加えられるようにした。米議会の対北朝鮮制裁法が「大量破壊兵器に関連する」という但し書きを添えたことに比べ、制裁の範囲が拡大したことになる。
輸送、エネルギー、金融、金属などの分野では、中国やロシアの企業が北朝鮮ともっとも緊密に連携しているとされる。しかし、この場合も第3国の企業が米国に進出している場合のみ、制裁対象となる。また、米国財務省や国務省が、具体的に制裁対象を指定しなければ、効力を発揮できない。このような意味で、中国やロシアに国連安全保障理事会の制裁の履行を圧迫し、情勢が悪化した場合に備えて、利用できる手段を最大限に確保するための措置と思われる。
実際、財務省は同日、新たな行政命令に合わせて、北朝鮮の個人2人と15の団体、船舶20隻を追加制裁対象に指定したが、中国などの第3国の個人や団体に対しては、追加制裁措置を発表しなかった。
韓国語原文入力:2016-03-17 19:32