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日本の法廷の奇妙な慰安婦判決 吉見義明教授敗訴

登録:2016-01-20 22:28 修正:2016-01-21 07:03
20日午後、ソウル鍾路区中学洞駐韓日本大使館の前で開かれた第1214回日本軍「慰安婦」問題の解決のための定期水曜デモに参加した子どもたちが「歴史を忘れないでください」と書かれたプラカードを持っている=キム・ギョンホ先任記者

「慰安婦は性奴隷」と著述した吉見義明教授 
捏造と言った発言者に損害賠償求めた訴訟で敗訴 
「聞く人が捏造とは評価しなかったはず」

 「不当判決です。弁護士として惨めです」

 20日、東京千代田区、東京地方裁判所前。「不当判決」と書かれた紙の前で、慰安婦問題の解決のために活動する日本の市民団体の注目を集めた「吉見裁判」の判決内容が紹介された。裁判に参加した最年少の弁護士の武藤行輝氏は、原告敗訴の事実を伝えながら「裁判官の判決を聞いて頭が真っ白になりました。期待に応えられず、申し訳ありません」と語った。その周辺を取り巻く約100人の日本の市民たちは「不当な判決を許さない」「吉見教授の名誉を守ろう」と叫んだ。

 東京地方裁判所33部(裁判長原克也)はこの日、日本で慰安婦問題研究の権威である吉見義明・中央大学教授(69)が、桜内文城・前衆議院議員(日本維新の会所属)に対して提起した名誉毀損訴訟で、「原告の請求を退ける」として原告敗訴を言い渡した。

 裁判が大きな注目を集めたのは、現在の慰安婦問題をめぐる最大の争点である「慰安婦制度は性奴隷制度だったのか」について、日本司法の判断が下されるものと期待されていたからだった。

 事の発端は2013年5月、桜内前議員が外国特派員協会の記者会見で「慰安婦は性奴隷」という吉見教授の著述について、「捏造であるということが、いろんな証拠によって明らかにされている」と述べたことだった。吉見教授は桜内前議員に対し、この発言の撤回と謝罪を求めたが、拒否されたことを受け、同年7月26日名誉毀損による損害賠償を請求する訴訟を起こした。

 吉見教授側は、当初、簡単に勝訴すると予想していた。桜内前議員が「捏造」と発言したため、自分の発言が名誉毀損ではないことを証明するには、吉見教授が「慰安婦が性奴隷ではないことを知りながら性奴隷という研究結果を発表した」という点を証明する必要があったからだ。

 原裁判長は原告の訴えを退けた判決理由で、桜内前議員が口にした「捏造」という言葉は、(発言の文脈から)聞く人にとっては(通常の意味の)捏造を意味するのではなく、著書に対する論評に過ぎないということだった。裁判所は判決文で「本発言(桜内前議員の「捏造」という発言)は口頭で述べた短いコメントだ。中立的立場の通訳もこの言葉を『誤り』『不適当な』という程度の意味であるインコレクト(incorrect)と訳した」と述べた。さらに性奴隷の部分については「従軍慰安婦が『性奴隷だったのか』そのものではなく、そのように評価できるかどうかの問題」であるとし、「事実に対し使用される捏造という言葉にはそぐわない」と指摘した。川上詩朗弁護士は「慰安婦制度が性奴隷制であったのかについては判断を避けた、非常に形式的な判決だ」と批判した。

 吉見教授は判決後開かれた報告大会で「判決は非常に残念で憤りを憶えるものだった。一人の研究者にとって、研究結果が『捏造』と言われるのがどれほど個人の名誉を毀損し、人格を傷つけるものなのかを、裁判所が理解していなかった」と述べた。吉見教授は判決に不服として控訴する予定だ。

東京/キル・ユンヒョン特派員お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-01-20 19:20

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/727093.html 訳H.J

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